日本の場合新築のマンションの価格は通常買った瞬間に20%〜30%下がる。新築のマンションにはモデルハウスの建設費や広告宣伝費などの販管費用やディベロッパーの利益などが含まれているので発売直後に物件の実質価値以外の価格が大きく乗算されているからだ。

マンションの価格と賃貸価格の推移

新築ワンルームマンションの価格は最初の5年間で大きく下がり相場に落ち着くのが一般的。その後はロケーションによって値動きが変わってくる。東京都心や近郊の強い需要がある地域であればその後の値下がりは最低でも緩やかであり、時には横ばいから上昇に転じることもある。新築は設備が新しく耐用年数も長いが予想外の欠陥が存在するリスクもある。そうしたことは建物が完成してから数年のうちにだんだんとわかってくるのだ。

しばらくして状況が明らかになるのは賃貸価格や賃貸需要に関しても同じで、数年を経過すると実際にどのくらい家賃収入が得られて、どのくらいの割合で空室が出て、など周囲のデータから割り出して検証することができる。一方、築20年以上などあまりに長いと今度は設備の老朽化で修繕費用がかさんだり、耐震基準など法規制的な要素が違ったりすることもあるので5年〜10年程度の築年数のものが狙い目と言えるだろう。

ワンルームマンションの需要が高い理由

1人暮らし用のワンルームと家族数人で暮らす2LDK、3LDKなどの広い間取りのファミリータイプのマンションの比較ではどうか。同じロケーションにあるならばもちろん間取りの広いファミリータイプのマンションの方が高い家賃収入が見込める。しかし日本のファミリーマンションはワンルームマンションと比較して空室になったときに次のテナントが付きにくいという実態がある。現在日本では単身者世帯が増加の一途を辿っているからだ。

日本の文化的な側面に起因している部分も大きい。人は自分の生まれ育った家族の住んでいる場所から離れるとまず1人で生活することになる。将来家族を持つことになる人もほとんどすべてが単身者世帯を経験する、そのまま独身で過ごす人もいるし、離婚をして再び単身者になる人もいる、子供が巣立ったあとに伴侶を失い単身者に戻る人もいる。

またこれは企業文化的側面だが、日本の会社、特に大企業は転勤が多い。担当者を固定させないためにずっと同じ部署居させないということもあるし、大都市圏と地方の勤務機会をある程度社員間で公平に振り分けるという理由もあるだろう。その場合家庭を持っている人でも子供の就学の理由などにより単身赴任をするケースが少なくない。このような理由によりかつて多く作られたファミリータイプのマンションが余り気味となりワンルームの需要が逼迫してきていると考えられる。

日本でも最近でこそシェアハウスという言葉をよく聞くようになったが、他人とシェアをして一緒に暮らすという習慣が充分に根付いているとはまだ言い難い。欧米では若い時に大きな間取りの部屋を借りて数人でシェアするというのは当たり前のようになっており、逆にワンルームマンションはあまり見当たらない。日本の単身者は基本的に小さな間取りの部屋で1人暮らしをするのが習慣となっている。

地方のマンションの利回りと賃貸需要に関する注意点

地方の物件は一般的に都心の物件と比較して利回りが高い。物件の取得価格に対して、それを賃貸に出して見込める家賃収入の割合が高いのだ。東京都内での表面利回りが5%〜7%程度なのに対して、地方では10%を超える利回りを生む物件は少なくない。

それに対して、「地方の物件は満室想定利回りは高いが実際に満室にするのは困難」だから注意が必要、という意見を聞くことは多い。確かにそれはあると思う。しかしそれよりも大きな問題は今日本の人口構造が変化を遂げている最中にあるということではないだろうか?

日本は今、毎年死亡者数が出生数を上回る人口減少の状態にある。日本の人口は2006年がピークだったのでもう10年ほど日本全体の人口は減り続けていることになる。一方で日本最大の人口を抱える東京の人口は増加し続けている。つまり全体に減っている中で首都圏により人口が集中して、地方が急激に過疎化しているという現状がある。

人口の多い所に人が流入して、人口の少ないところで更に減る状態にあるので多くの人にとって人口減少の実感は薄い。地方では家賃を下げれば人が入るという状態にもならないので名目上の賃貸価格は顕著には下がらない。しかし不動産を売ろうとするなら買い手が付くまで下げざるを得ず、物件価格ばかりが下がってゆく。

それが賃貸利回りを押し上げていると考えることはできるだろう。地方でも近くに大学や工場などがあって一定数の需要が見込めたり、リノベーションなどで周囲の物件と差別化すれば近隣の需要を効率よく吸い寄せられるような場合もある。だがそれを達成するのは需要の多い場所で展開するより高度なノウハウと手腕が必要とされるはずだ。

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