暗号通貨あるいは仮想通貨の周辺が喧しい。暗号通貨(あんごうつうか)とは、暗号理論を用いて取引の安全性の確保、およびその新たな発行の統制をする仮想通貨である。暗号通貨は代替通貨のひとつであり、特にデジタル通貨のひとつでもある。(Wikipediaより引用1)

仮想通貨と暗号通貨の違い

一般にビットコインなどの暗号通貨(Crypto Currency)に対して日本では仮想通貨という呼称が用いられるが、厳密には暗号通貨は仮想通貨(Virtual Currency)という、より広い概念のひとつのカテゴリーという位置付けである。ちなみに、仮想通貨(かそうつうか)とは法定通貨に対して特定の国家による価値の保証を持たない通貨のこと。(Wikipediaより引用2)

仮想通貨という呼称には暗号通貨以外にもSuicaなどの電子マネーやTポイントなどのポイントなど通貨ではないのに商品やサービスが買えるものも含まれるという説もある。

 

ビットコイン(BTC)の成功が形成した暗号通貨の地位

ブロックチェーンという極めて改ざん困難なネットワーク上の取引記録生成を可能にした技術を実装したはじめての暗号通貨「ビットコイン(BTC)」
改ざん困難なブロックチェーン技術に契約内容(例:商品の引き渡しがあったら約束の金額を支払う)を書き込みその通りに執行する機能であるスマートコントラクトを備えた「イーサリアム(ETH)」
発行体のないビットコインとは違い、送金の迅速化、簡素化を目的にリップル社が発行しているドル、円など世界中の法定通貨だけでなくビットコインやイーサリアムなどの暗号通貨と交換可能な「リップル(XRP)」

ビットコイン(BTC)が最初にモノと交換されたのは2010年のことでそのときの取引が10,000BTCでピザ2枚を買ったというもの。さすがにこのときはジョークのノリだったらしいが今から1年ほど前に1BTC=50,000円台だったビットコインは今は1BTC=300,000円前後(※2017年6月時点)で推移している。

新技術の実験からはじまりネットや実店舗でモノが買えるまでになりその価値もうなぎ登りのビットコインの成功により、雨後のたけのこのように実に様々な暗号通貨が生まれている。2017年中盤の時点で暗号通貨・仮想通貨は世界で700種類ほどあるという。

暗号通貨取引所とICO(Initial Coin Offering)

こうした様々な暗号通貨はネットワーク上に作られた「取引所」と呼ばれる場所で法定通貨と交換されている。ビットコイン以外のほとんどの暗号通貨は現時点では法定通貨と交換(売買)できるだけで、それ自体を使って商品を買うことはまだできないにもかかわらず多くの暗号通貨が盛んに買われその価値がどんどん上昇している状態だ。バブルの様相を呈していると思う。

最近では新たに開発した暗号通貨を取引所に上場させる「ICO(Initial Coin Offering)」という言葉も出てきている。これは証券取引所に株式を上場するIPO(Initial Public Offering)を暗号通貨に置き換えたものだろう。もちろん国家のレギュレーションに沿って運営されている証券取引所のIPOと国の法規制外(というよりむしろ国の規定が追いついていない)ところで運営されている個別の民間取引所で行なわれるICOを同列に扱うことはできない。しかし実際に取引所での暗号通貨の売買で損益が確定する状態になっているのでそこには間違いなく投資(投機)機会はある。

バブルは弾けたときに多くの人を奈落の底に突き落とすが、逆にうまく立ち回った人の人生を一瞬にして好転させるものでもあるのでそこをしっかり理解したうえで暗号通貨の取引に参入するならそれも良いと思う。

暗号通貨取引の注意点

個人的に暗号通貨についてキモに銘じておきたい点が3点ある。ひとつ目はバブルの狂瀾と崩壊。2000年前後にあった
ITバブルの時期にはIT関連の会社の株であればなんでもかんでも上がったがその中にはビジネスモデルや収益構造的に
しょぼい企業も多く含まれておりバブル崩壊とともにメッキが剥がれて暴落した。

そうでない企業はもちろん今でも大いに活躍している。仮に暗号通貨が今バブルの状態でそれが崩壊するとしたらやはり優良な通貨とそうでもない通貨が分かれるだろう。ダメな通貨に投資して持ち続ければ大きな損失を抱える可能性がある。ふたつ目は政府の新たな規制でマーケット以外の原因により暗号通貨の価値が変動してしまうことだ。

アイスランドではビットコインの売買を違法としているし、中国やロシアなど複数カ国では全面的ではないもののその流通に関して厳しい規制を設けている。後づけで国家がその使用を法規制すれば我々が抗える術(すべ)はない。マネーロンダリングの温床になる云々の理由もあるだろうが、何より通貨の発行権は国家の既得権益であり暗号通貨はそれを脅かす要素があることは意識しておく必要があるだろう。

最後は計画の頓挫や詐欺により投資資金を溶かしてしまうことだ。市場が熱く盛り上がっているときには必ずまがい物も現れる。

「画期的なコインを開発した。発表前にあなたにだけ特別価格でオファーします」
「数年前にピザ2枚分のBTC10,000は今30億円の価値があるって知ってますか?」
「このコインに投資して、◯人に紹介すればその◯%があなたに支払われ・・」

などと、甘い言葉に乗って購入した暗号通貨がICOで取引所で扱われることもなく放置される。真面目に運営しようとしたのに失敗するにせよ、最初から仕組まれていたにせよ聞いたこともない「コイン」が再び法定通貨に変えることもできず自分の「口座」に鎮座している。。それは暗号通貨活況の影で必ず発生するだろう。その意識は常に保ちながら暗号通貨に向き合いたいと思うのである。

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