ビットコイン(Bitcoin)をはじめとした暗号通貨(仮想通貨)の市場が活況である。12月18日時点での暗号通貨全体の時価総額は約USD5,800億(約64兆9,000億円※)その内ビットコインの時価総額は約3,170億(35兆5,000億円)ブロックチェーンやマイニングなどの概念をもたらし暗号通貨の礎となったビットコインは暗号通貨全体の50%以上の時価総額を占めている。

(暗号通貨時価総額一覧)
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アルトコインとは

実際に現実社会でモノを買ったりできるのもほとんどビットコインしかないと言っても過言ではない。そうした実体があるからかビットコイン以外の暗号通貨は「アルトコイン」と呼ばれる。アルトコインはAltanative Coinの略で日本語に訳すと”代替のコイン”つまりビットコイン以外で世界に1,000種類以上存在すると言われる暗号通貨はすべて”ビットコイン以外のコイン”という位置づけになっていることを端的に表す言葉だ。まあ市場価値の半分以上がビットコインなら現時点で他の通貨はそう呼ばれても仕方がないのかもしれない。

イーサリアム(Ethareum)とは

そのアルトコインの中でもっともメジャーな通貨が時価総額でもビットコインに追随している「イーサリアム(Ethareum)」だろう。

ビットコイン取引の公正さの裏付けとなるのはその取引確かに行われたということをインターネット上で第三者が確認する作業である。その確認作業がマイニング(採掘)と呼ばれる行為であり、それを行う者がマイナー(採掘者)で彼らが確認し済みのデータがブロック、その連鎖がブロックチェーンということだ。国の中央銀行のような特定の管理者を持たず世界に散らばっている有志が取引を共同監視することで信用を保つ新しい通貨の仕組みはイーサリアムにも受け継がれている。だが後発であるがゆえ、ビットコインが持っていない新しい技術がイーサリアムには実装されている。それが「スマートコントラクト」という機能である。

スマートコントラクトとは

スマートコントラクトの定義は何かと言えば諸説あるようだが、ざっくりと契約をブロックチェーンに記録できるものと考えて良い。例えば身近な契約である売買契約。商品とお金を直接交換できる店舗での買い物という取引はほとんどの場合わざわざ契約を結ぶ必要はない。

だが商品の売り手と買い手が遠隔地にいてお金を送金と商品の発送という作業が入る場合はどちらかが約束を守らないもある可能性がある。送金したのに商品が送られてこない、逆に商品を送ったのに支払ってこない、というケースを考えると売り手も買い手も不安である。

だから従来その取引に信用できる第三者を噛ませたりする。買い手がお金をその第三者にお金を預け、それを確認したら売り手が商品を送り、到着したら第三者は売り手に預かったお金を支払うことで公正な取引を担保するようなことが必要だ。しかしいちいちそれをやっていると時間はかかるし手間はかかるし、第三者にも手数料を渡さなければならないし、など多分に非効率である。

ところがスマートコントラクトで売買契約を他者が確認可能なブロックチェーンに記録できればどちらかが不正を働いてもそれはすぐに明るみに出る。時間、手間、コストが大幅に節約できるうえに契約違反が起こるケースを極小化できると考えられる。これが現時点で時価総額2位の暗号通貨イーサリアムの大きな特徴である。

イーサリアム・クラシック(Ethareum Classic)とは

ところで時価総額でいうと現在10数位のところに「イーサリアム・クラシック(Ethareum Classic)」という似たような名前の暗号通貨がある。名前から想像できるとおりイーサリアムとイーサリアムクラシックは元々1つのイーサリアムだった。

スマートコントラクトを実装したイーサリアムは将来性を高く評価されていた反面セキュリティ面が追いつかずサイバー攻撃に対象になっていた。2016年6月にイーサリアムの技術を利用して開発された(イーサリアムベース)暗号通貨を使ったTheDAOというプロジェクトでハッキングがあり多額の不正送金がおこなわれた。

この事件の収拾のためイーサリアムの開発チームが不正送金が行なわれる前の状態に戻すハードフォーク(※)を行なうことで解決した。(※)フォークはシステムの仕様変更。以前の仕様と互換性のあるソフトフォークと互換性を残さない抜本的な仕様変更であるハードフォークがある。

ところがブロックチェーン技術を用いた非中央集権的な概念を大事にする一部の技術者がこのハードフォークを中央管理的な介入であると反発し、このハードフォークを拒否して以前の仕様でもうひとつのイーサリアムを作ってしまった。これがイーサリアム・クラシックである。

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