分散型予測市場プラットフォーム用暗号通貨。オーガー(REP)とノーシス(Gnosis)


「予測市場(Prediction Market)」は将来起きる出来事を予想してお金を投じ、その結果が正しければ報酬を得て間違っていれば投じたお金は戻ってこないというマーケットである。ギャンブルは典型的な予測市場だ。競馬の場合はどの馬が勝つかを予測してお金を賭ける。自分が賭けた馬が勝てば払戻金という報酬が支払われ、負ければ賭けたお金を失う。そして多くの人が勝つと思っている人気の馬に自分も賭けてそれが勝つよりも、人気の低い馬に賭けて勝つ方がより多くの報酬がもらえる。

胴元がオッズを設定して調整しているからだ。予測市場は金融商品にも応用されている。将来の気象現象を対象とした天候デリバティブという商品。例えば夏の暑さによって売上が大きく左右されるビールメーカーがその年の夏冷夏であればリターンの得られる天候デリバティブを買う。実際に基準以上冷夏が訪れれば売上が下がるがリターンといういわば補償金が支払われてリスクが軽減される。(冷夏でなければデリバティブの購入代金は失われてしまうがその年のビールの売上は心配ないだろう)

「分散型予測市場(Distributed Prediction Market)」というのは仮想通貨(暗号通貨)に使われているブロックチェーンとスマートコントラクトを活用することによって実現された予測市場である。「分散型」とはオッズの設定や配当金が分散されたユーザーによって決まるという意味がある。例えば予測市場である競馬の場合は胴元という中央で管理する主体があり、馬券の売上から一定の手数料(テラ銭)を取って残りをオッズに従って当選者に振り分けるというシステムだ。要するに配当金の合計は賭け金の合計より少なくなる。これはお金を投じて賭けをする側から見れば非効率である。ところがこれに取引のデータを多くの人が分散して管理するブロックチェーンやそれに契約内容を書き込めるスマートコントラクトを使えば胴元のような中央管理者の存在を排除して賭け金のほとんどを払い戻しできるようになる。

「オーガー(Auger)」はこの分散型予測市場での利用に特化した仮想通貨。通貨単位はREPである。スマートコントラクトの技術を実装したイーサリアム(ETH)をベースに開発されたトークンである。予測が正しい場合は配当金を受取り、間違った場合は賭け金を失うという予測市場におけるオッズ(予想配当率)、賭け金の預かり及び管理、対象となる将来の出来事の事実認定、配当金の分配などの様々な取り決めがオーガーのブロックチェーンには記録することが可能になっており、未来予測の「賭け」が多数の人によって管理され公正かつ合理的に行われる。参加者はその未来予測にオーガーのREPトークンを投じて、ハズレであればそれを失い、当たりであればより多くのトークンが得られるということになる。未来予測の事実認定は複数のレポーターという人によって行われる。供託金を支払うことによってなることができるレポーターには賭けの対象になっている未来予測に対して事実かどうかの判定をおこなう資格が与えられる。より多くのレポーターが正しいと判定したものが未来予測の事実として判定され、賭けの結果となる。

このレポーターも自分の判定が多数決により間違いだと判定された場合に供託金を失い、正しいと判定された場合は報酬を得られるようになっている。分散したレポーターが事実を判定するこの方式は「分散型事実認定(Distributed Fact Stream)」と呼ばれている。分散型予測市場に使われる目的で開発された仮想通貨にはもうひとつ「ノーシス(Gnosis)」がある。ノーシスのトークンにはGNOとWIZがある。GNOは取引所で法定通貨やビットコインなど他の仮想通貨と交換可能なトークンでWIZはノーシスのシステム上で賭け金や手数料の支払いに使われるトークンである。取引所で入手したGNOをWIZに交換してノーシスの予測市場に参加することができる。ノーシスの特徴は未来予測の賭けを予め用意されたアプリケーションの中で行えるということ。

ノーシスのアプリケーションには有名人のゴシップに関する予測をする「The Hunch Game」、骨董品や芸術作品がどのくらいの価格で売られるかを予想する「Price Discovery」、政府の政策や出来事が国民に有益かどうかを予測する「Futarchy」などがある。参加者はこれらアプリケーションに用意された未来予測にGNOトークンを投じることができる。予測の事実確認はユーザーの中から選ばれた専門家がおこなうという仕組みになっている。ノーシスはカテゴライズされた範囲で未来予測の賭けを設定し、事実判定も限られた少数の専門家がおこなうので結果が出てから配当がより早く受け取れるというのが特徴だ。一方オーガーは参加者が自由に未来予測のイベントを作ることができ自由度が高い反面多様化しやすくまた多数のレポーターの報告をまとめて集計する必要があるので結果の判明や配当の支給も遅くなりがちである。


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