とどまるところを知らない。
2022年6月13日、ドル円の為替レートはUSD1=JPY135の大台を突破した。これで20年前の2002年に記録した安値を下回り、1998年以来24年ぶりの領域に足を踏み入れたことになる。
歴史的な円安
1998年に日本円はどこまで下がったかというと、それは147円台だ。個人的に当時新卒で就職した会社を退職後、日本企業の上海法人に移って2年ほど経った頃だったが給与を米ドルで受け取っておりその金額を日本円に換算すると、前職の給料の倍以上に金額になり”転職して良かった!”とささやかな喜びに浸ったのを記憶している。結局それから数ヶ月で日本円は110円台に上昇、1999年の暮れには101円ぐらいまで暴騰してしまったので儚い満足感ではあったが、、
円安の影響
ともかく現在日本円は米ドルだけでなく他の主要通貨に対しても今の大学生より若い世代は経験したことのないほどの低水準にある。円安になると一般庶民としてまず気になるのが輸入品の価格上昇だろう。輸入品の代表格であり、燃料や素材として経済の根幹を支える原油は1バレル=USD120近辺(WTI原油先物)で推移している。現在日本円に換算すると16,000円ぐらいになる。これが仮にUSD1=JPY100のときであれば12,000円だから今はひたすらかなり高い買い物をしていることになる。
原油のようなエネルギー資源は別にして、日本では為替の変動があっても通常あまり小売価格に反映することはない。もちろん逆に円高になったときに価格を安くしたりすることもないので、供給者は長期スパンでそのプラスマイナスを吸収していることになる。ところがそうした業者にとっても”いくら何でもこれはちょっと無理、、”という水準になっているようだ。
例えば「100円ショップ」の廃業が増えているという報道があった。仕入れ価格が高騰して100円で商品を販売することが難しくなったということらしい。もはや値上げしなければやってゆけないが、値上げしたら看板とと矛盾してしまうのでの「100円ショップ」という業態から一旦撤退するのは致し方のないことかもしれない。
それ以外の企業でも値上げは盛んに行われている。帝国データバンク調査によると、2022年6月で企業105社がラーメンや食用油、飲料など6285品目の値上げに踏み切るとのことで、7月以降も3000以上の商品価格が値上げされると見込まれている。
一方で円安は経済全体にとっては基本的には追い風だ。日本には輸出を行っている数多くの業者があり、その多くが規模の大きな優良企業である。海外の顧客にとってみればこの円安は高品質の日本製品を安価に入手できるチャンスである、こうした輸出産業が再びシェアを回復して好業績をあげるのは目に見えている。
円安のメリット
円高のときに海外に生産拠点を移してしまった企業も多いが、逆にそうした海外法人であがった外貨建ての利益を日本に戻して日本円に換算すればまたそれが巨大な金額となりGDPを押し上げるというのも円安の別の側面だ。
また6月10日からツアーに限って海外からの観光客の受け入れが始まっているが、このままスムーズに自由旅行の解禁まで進めば安価な日本旅行に人が押し寄せてインバウンド需要が勢いを増すことも充分に考えられる。
為替市場の特性
とはいえ、為替相場は変動の大きなマーケットだ。現在1ドル135円という歴史的水準にあるが、2021年1月頃はUSD1=JPY103程度だった。わずか1年半の間に30%も動いていることになる。
同列に並べて語るようなエピソードでもないが、ロシアのルーブルはウクライナ侵攻前にUSD1=RUB75ぐらいだったのが、主要国による最初の経済制裁が発表された直後にUSD1=RUB150ぐらいまで暴落した。しかし今はUSD1=RUB57とむしろ侵攻前から見てもかなりの高値水準にある。(もちろん先に述べたように通貨高騰はどちらかというと国にとってはマイナス要素が大きいのだが、、)
変動の大きければそこに生まれる損益もまた大きい。

