【1989年名目GDPランキング(単位:10億ドル)】
1位 アメリカ 5,641.60
2位 日本 3,054.91
3位 ドイツ 1,252.64
4位 フランス 1,026.18
5位 イギリス 1,005.57
6位 イタリア 938.27
7位 カナダ 567.21
8位 中国 461.07

【2018年名目GDPランキング(単位:10億ドル)】
1位 アメリカ 20,494.05
2位 中国 13,407.40
3位 日本 4,971.93
4位 ドイツ 4,000.39
5位 イギリス 2,828.64
6位 フランス 2,775.25
7位 インド 2,716.75
8位 イタリア 2,072.20

世界のほとんどの国で何の変哲もない2019年5月1日(一部の国は祝日)日本にとっては新天皇即位と改元という数十年ぶりのイベントだった。

世界に40数カ国しか残っていない君主制の国のひとつであり、今だに元号を使っている唯一の国だからこそ訪れるその日を様々な感慨を持って過ごせるのはおそらく幸運なことだと思う。災害や不況に苦しんだ平成の時代が終わり令和を「新しい時代の幕開け」と期待を持って迎えるのは悪いことではないが。

ここでは平成と呼ばれた日本人特有のこの期間に日本では何が変わり、何が変わらずに置き去りにされ、どんな状態で令和の時代が始まったかをどちらかというと厳しい現実から俯瞰してみたいさて、冒頭の2つの年度における名目GDP(国内総生産)ランキングのデータ。1989年は平成元年であり、2018年は実質的な平成の末年である平成30年だ。つまりこの対比は平成の間に世界各国のGDP(=稼ぐ力)がどのように変化したかということを表している。

1989年頃、日本が世界第2位の経済大国であったことはおそらく誰もが知っているだろう。しかしそのときの名目GDPの数値が1位アメリカの半分以上あったという印象は随分薄いのではないだろうか?そして3位のドイツは日本の3分の1を少し超える程度だった。1989年と言えばバブル最盛期で地価はべらぼうに高く「日本の土地をすべて売れば米国が2つ買える」というようなことがまことしやかに言われていたとき。日経平均株価が最高値である38,957.44円を記録するのはこの年平成元年の大納会(最後の取引日)である。

”近い内にアメリカに追いつくときが来るかもしれない。。”

そう思ってもまったく不思議ではない、まさに当時の日本の経済は飛ぶ鳥を落とす勢いだった。3位以下を大きく引き離して猛然とトップを追い上げていたのである。

30年後の2018年。バブル崩壊後から復活に苦しみ「失われた20年」と形容される長期の経済的停滞を経験した日本のGDPは現在平成元年のそれの約6割増しである。数年前に中国に抜かれてGDPランキングで3位になってしまったことも多くの人が知っているはずだ。しかし中国のGDPは現在すでに日本の2.5倍以上になっており、トップのアメリカもやれ911テロだ、リーマンショックだ、となんだかんだありながらも順調に経済成長を続け今や日本は4倍以上の水を空けられているということを認識している人は多くないのではないだろうか。ランキングではまだ日本より下にいるドイツ、イギリス、フランスの経済規模もこの30年で2〜3倍になっている。(ちなみに中国の経済規模は29倍になっている)

マラソンに例えるなら自分はトップを捉えようとしていると思っていた2位のランナーは信じられない速度で追い上げてきた走者にあっという間に追い抜かれ、同時にスピードを上げたトップランナーにも一気に引き離され、まだまだ差があると思っていた後続にどんどん追い上げられている、、そんな状態。

国の豊かさの度合いを表すGDPの数字を検証するとランキングに現れている国の中で日本が一番の「落ち目」にあることは残念ながら明らかなようだ。

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