いよいよ2019年10月1日から消費税が現行の8%から10%になる。食品は原則8%、定期購読の新聞も8%などという軽減税率を含めたこれまでの消費税増税時より多少複雑なかたちである。

法律の改正なので個人の消費活動においては単純にそれに従うまで。しかし事業で消費税を扱い、節税余地のある側にとっては節税金額も大きくなるということ。特に単価の大きな事業用不動産を展開する場合はより神経を尖らせてゆく必要がある。

日本国内不動産の消費税還付

日本法人で不動産物件を購入して、それを居住用以外の事業、例えば事務所や商業テナント、ホテル事業などを展開する場合、条件によって購入した不動産の消費税の還付を受けることができる。消費税還付を受けるためには消費税の課税事業者になっておく必要がある。課税事業者になっていれば事業収益で受け取った消費税金額が事業投資のために支払った消費税金額より少なければその部分が「払いすぎ」となり還付を受けられるのである。

例えば、3億円の事業用不動産を購入すれば現行の8%で2,400万円の消費税を支払うことになるが、同じ年度の家賃収入が2,000万円の場合、160万円の消費税を受け取る(その後国に納税する)160万円-2,400万円=-2,240万円となり2,240万円が戻ってくることになる。これが消費税が10%になる2019年10月1日以降は、200万円-3,000万円=-2,800万円となり、還付金額が一気に増えるのだ。

消費税課税事業者

課税事業者である条件は2年前の事業売上が1,000万以上あることである。つまり設立3年目の法人であれば設立初年度の事業による売上が1,000万円以上あれば3年目は課税事業者ということになる。しかし設立初年度は当然2年前の実績などない、その場合はどうなるか?設立初年度そして2年目に消費税課税業者になるには2通りの方法がある。

1つ目は資本金が1,000万円以上の法人を設立すること。資本金が1,000万円の株式会社であれば無条件で課税事業者になるからだ。資本金が1,000万円以下の法人であればそのままでは非課税業者となり、つまりは基本的に消費税が免税になる。すなわち消費税を申告・納付をする必要がないということになるが、裏を返せば支払った消費税の還付もできないことになる。

従って資本金1,000万円以下の新設法人が課税業者となって支払い消費税の還付を受けるためにはあえて課税業者となるための届け出をしなければならない。届け出にはある程度時間もかかるので物件購入前から計画的に取り組む必要がある。ちなみに居住用不動産つまり賃貸アパートの家賃収入は非課税売上となっており消費税を支払う必要はない。これは裏を返せば居住用不動産の投資のために支払った消費税も家賃収入と相殺して還付を受けることができないということである。しかしそれでも課税事業者を申請して、家賃収入とは別に課税売上を作ることにより消費税還付を受けることは可能だ。

金の売買を利用した消費税還付

以前は居住用物件を法人に保有させて、その法人で課税事業者を申請、敷地内に飲料の自動販売機を設置したり、有料駐車場を作ることによりわずかな課税売上を計上して受取消費税を発生させて不動産購入時の消費税と相殺して還付を受けるというスキームがあった。還付を受けたあと課税事業者を離脱すれば物件購入時の消費税が丸儲けだった。しかしその後そうした抜け道のような方法は制限を受け、2019年現在賃貸用不動産購入時の消費税還付を受けるには物件購入後3年間課税売上割合を50%以上に保つ必要があるとされている。

すなわち非課税売上である家賃収入以上の売上を別の商売で計上しなければならず、それを3年間続けなければならない。自動販売機でこの売上を作るのは到底無理である。そこで現在流行しているのが法人名義での金の売買だ。金は取扱業者を通じて簡単に売買できるが法人の課税売上に算入できる。

単価が高いので売上が稼げる一方、購入してすぐ売却すれば手数料はかかるものの価格が下がって損失を被る可能性は少ないし、売買の消費税もほぼ相殺される。このスキームも近いうちに法改正されて使えなくなるのではないかと言われているがまだ利用可能なようである。

0
2011年の発行開始以来毎週配信されているBorderless Group代表玉利将彦のメールマガジン

メール講座【国境なき投資戦略】

* 入力必須