現金が動かしにくくなってゆく世の中


中国圏内への現金の持ち込み、持ち出しが一段と厳しさを増している。中国の通貨、人民元(RMB)については中国本土から海外への持ち出し、海外から本土への持ち込みの双方において限度額は一人あたりRMB20,000/日である。合法的にそれ以上の金額をハンドキャリーで移動することはできない。

外貨の場合はUSD5,000相当以上の現金の海外から中国本土に持ち込みをするときに税関で申告が必要である。逆に外貨でUSD5,000以上USD10,000未満相当の現金を中国本土から海外に持ち出す場合、銀行が発行する外貨携帯証が必要になる。USD10,000相当以上の現金を中国本土から海外に持ち出す場合は銀行の他に外貨管理局の発行する携帯許可証が必要になってくる。一度USD5,000相当以上の外貨を持ち出してから15日以内に再度持ち出す場合は上限はUSD1,000になる。一度USD5,000相当以上の外貨を持ち出してからその日の内にもう一度持ち出す場合はの上限はUSD500である。

もし20,000元以上の人民元またはUSD5,000以上の外貨を無申告で中国国内から持ち出そうとして税関で見つかったときはその現金は一旦当局に拘束される。そして日を改めて再度中国の税関に自ら出頭し、罰金の10%を支払って残額を引き取ることになる。

毎日夥しい人が通過する中国の税関では税関職員がランダムに抜き打ち検査をする。「ちょっと君、こっちへ来て」という具合にカウンターに呼び、手持ちの荷物を開けて中を確認するのだ。そこで規定以上の現金が見つかれば取り調べ室に連れてゆかれ、取り調べを受け始末書をはじめとする数種類の書類に署名をして一旦解放される。所要時間は2時間程度だが精神的にかなり疲弊する手続きだ。こ

のときの記録はもちろん保存され、将来同じことをして見つかったときには全額が没収されるという。香港においても2018年7月16日からHKD120,000相当以上の現金等(現金、小切手、約束手形、無記名債券、トラベラーズチェック、郵便為替)を海外から持ち込む場合は税関での申告が義務付けられることになった。HKD120,000相当以上の現金を持ち込む度に専用フォームの記入のうえ、税関に申告する必要がある。逆に持ち出す場合は現時点で制限はないが、出国時にHKD120,000以上の現金を持っていて税関職員から質問があった場合はそれに回答する義務が生じる。この申告手続きに違反した場合は最大HKD500,000の罰金と2年の懲役刑が科される可能性がある。

マカオでは2017年11月からMOP120,000以上の現金及び無記名で第三者への譲渡可能な有価証券類の持ち込みの申告が義務化されている。MOP120,000をマカオ外に持ち出す場合は税関職員の質問に応じる必要がある。その規定に違反した場合の罰則MOP1,000〜MOP500,000の罰金刑となっている。一時期それが国家なのかそれとも中国の一地域なのかという立場がはっきりしないが故にCRS(共通報告基準)の海外資産自動交換システムに加入していなかった台湾も2019年にはCRSに組み込まれる予定である。

以前の大方の見方ではCRSに加入するということは国家でであるかそれに準ずる地域であることの証明であり、「2つの中国」を断固として認めない中国が絶対に許さないということだったが、カネの流れをコントロールするためにプライドを捨てて実を取ったというところだろうか。上記はあくまで現金のハンドキャリーに関する規定の厳格化の動きである。税引き後の合法的なお金を普通に銀行送金することには影響はない。だがそこにも将来的に様々な制限がかかってくる可能性は否定できない。この先さらに厳しくなるか、あるいは逆に緩和されることもあるのか。その可能性をどう見るかは個人個人の判断によるしかない。だが「対策できるうちにやっておく」べきなのは間違いない。


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