「長生きリスク」

どうやら多くの日本人がこれを強く意識し、準備をしなければならないときが来ているような気がする。日本の平均寿命はすでに世界最高水準にあり、直近データでは2023年の時点で男性81.09年、女性87.14年である。

縄文時代や弥生時代の日本人の寿命は30歳前後だったという。平安時代は30代半ば、戦国時代に40歳に手が届くようになり、江戸時代から明治時代は40代半ばだったらしい。昭和に入ってから急激に寿命が伸び始め、100年あまりでかつての2倍の長寿を誇るようになった。人生を謳歌する時間が増えたのは基本的に喜ばしいことだ。

しかしもちろん良いことばかりではない。長寿はときに個人的に、そして社会全体に大きな問題を生む要因ともなるからだ。「長生きリスク」と呼ばれる新たな社会的・経済的なリスクは主に以下の4点に整理できる。

1. 老後資金の不足リスク

平均寿命が延びて退職後30年以上生きるケースも珍しくない。長期の生活費、医療・介護費用を十分に確保できないと、老後破産や生活保護依存などの貧困に陥るリスクが高まる。

2.医療・介護の長期化リスク

寿命が延びても健康寿命との差は依然10年前後あり、要介護や慢性疾患の期間が長期化している。特に認知症の増加は社会・家族双方の負担を拡大し、介護離職や家計圧迫を招く。

3.社会的孤立のリスク

高齢単身世帯の急増により、孤独死や心身機能の低下、うつ症状のリスクが上昇。人との関わりや社会参加が減ることで、健康悪化のスパイラルに陥りやすくなる。

4.社会保障制度の持続性リスク

少子高齢化により現役世代の負担が増し、年金・医療・介護保険の財政が圧迫されている。制度改正や給付抑制によって、将来世代が十分な支援を受けられない懸念も生じている。現状の平均寿命ですでにこの状態である。そして将来見通しとして、国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)は2070年に男性85.9年、女性91.9年まで寿命が伸びる「中位死亡仮定」を提示している。

少子高齢化の加速

これだけでも上記の懸念はさらに大きくなるが、この公的機関の予測さえどれほど信じて良いものかはわからない。14年ほど前、このメルマガを発行し始めた時に調べたデータでは2050年頃に単年度の人口減少が95万人に達するという予測だったが、昨年2024年にすでにその数字は91万人に達している。予測した数字に25年も早く到達しようとしている。

専門機関の予測を大きく超えて急激に状況が変化するのはあり得るのだ。特に寿命の伸びも今後予測を超えて推移する可能性は小さくないと個人的には感じている。なぜなら最近の医療技術の発達が著しいからだ。例えば電子カルテ、検診、Apple Watch等ウェアラブルのデータを統合し、AIが心不全や脳卒中の発症リスクを早期に想定し生活介入や薬物治療の開始時期を最適化できるようになっているし、遺伝子パネルによる個別化医療、免疫療法の適応拡大、リキッドバイオプシーによる再発検知の早期化は、主要死因であるがんの死亡率を構造的に低下させている。また、アルツハイマー病の抗アミロイド療法など疾患修飾薬の普及は認知機能の長期維持に寄与し、遺伝子治療や再生医療の発達は健康寿命をさらに延ばすと考えられる。

もちろん永遠に生き続けることは考えられないので、いつかは認知機能は衰え、身体も動かなくなってゆくのだが、そこに達する前に100年は見ておかなければならない、というようなことが現実化するような気もしている。

現役時代プラス40年を生きる

2025年4月から、高年齢者雇用安定法の改正により、企業は希望者全員を65歳まで雇用確保する措置を講じることが義務化されたので、今後はだいたい65歳まで働くとする。そこからざっくり健康寿命が30年、要介護や寝たきりの不健康期間が10年として合計40年ぐらいをそれまで築いた資産と年金だけで生きてゆかなければならないというイメージをこれからの時代を生きる我々は持っておくべきだろう。

一方でおびただしい高齢者が40年も年金を受け取る世の中で今の年金制度が維持できるはずがないのは当然と考えるべきだろう。

YouTubeに以下のような動画があった。

誤算で波乱の人生!?“年金の現実”【しらべてみたら】
https://www.youtube.com/watch?v=9Rc7AJ9sFhY&t=558s

今でこの状態であるということ、そして将来的にはこれがますます悪化するということである。将来の年金の不足分はまだお金を稼いで何とかできる今のうちに自ら蓄えて置かなければならない。

リスクとバランスしながらもできるだけ高いリターンを得られる商品の運用をできるだけ早く開始し、1年でも多く複利の利回りを積み上げることが重要だ。
 

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