2018年4月中旬時点、仮想通貨(暗号通貨)の時価総額でビットコイン、イーサリアムに続いて第三位の規模を誇るのがリップルである。リップルは前者2つを含む多くの仮想通貨とは大きく異る側面を持っている。リップルとビットコインの最も大きな違いは中央管理者の有無。

リップル(Ripple)とは?

ビットコインは中央管理者が存在せず運営の方向性はビットコインを利用する不特定多数の参加者がおこなうのに対し、リップルはRipple Inc.という企業が発行体となって管理している。なのでリップルに関する取引の検証や仕様変更等の意思決定はRipple Inc.がおこなうことになる。意思決定の権限が分散しているビットコインは非中央集権的なのに対して、発行体が意思決定の権限を持っているリップルは中央集権的だと言える。そもそもリップルというのは送金システムの名称である。

昨年の市場全体の価値上昇により仮想通貨の一種として知名度が高まったリップルだが本来の開発目的は従来の金融機関を通じた海外送金をよりスムーズで素早く、より安い手数料でおこなうシステムの確立である。そのために採った方法がドルや円などの法定通貨やビットコインなどの仮想通貨と自由に交換できるブリッジ通貨を作って銀行や中間業者間の両替の手間をなくす方法。

そのブリッジ通貨が仮想通貨リップル(XRP)である。つまりリップルは既存の金融機関と提携してより多く彼らの送金システムを採用してもらうことを目的としている。実際にRipple Inc.は世界のあらゆる銀行や金融機関との提携を進めており、その数を地道に増やしている。リップルはこの点でも中央銀行や既存の銀行などの金融機関がなくても決済できるデジタル通貨として開発されたビットコインとは根本的に異なる概念を持っている。

リップル(Ripple)のコンセンサスアルゴリズム「PoC(Proof of Consensus)」

仮想通貨は取引の台帳を中央で管理するのではなく複数の人の間で分散して管理するという分散型台帳技術(DLT)を採用している。それにより一部の邪な考えを持つ人による不正を防いでいる。この分散型台帳に「誰が承認した取引を記録するか」という決め事をコンセンサスアルゴリズムという。

ビットコインのコンセンサスアルゴリズム(※)は不特定多数の参加者の中でもっとも早く取引を承認した人のデータが分散型台帳に記帳されるというPoW(Proof of Work)であるのに対し、リップルのそれはPoC(Proof of Consensus)と呼ばれ取引の承認はRipple Inc.が選んだValidiatorという限定された人たちが承認することになっている。

どちらも分散型台帳を使って不正の発生を防いでいるのだが、リップルはそのシステムの信頼性を1つの会社が保証し、ビットコイン他多くの仮想通貨は参加者の皆で監視し保証する仕組みになっている。この中央管理者不在でも不特定多数の参加者がその信頼を保証できるシステムが分散型台帳という大きな括りの中でのブロックチェーンという技術である。つまりリップルのシステムは分散型台帳を採用してるが多くの仮想通貨が使っているブロックチェーンではない。この分散型台帳管理システムのことをリップルは「XRP Ledger」と名付けている。

ステラ(Stellar)とは?

ステラ(Stellar)はリップルのシステムをベースに2014年に開発された仮想通貨である。リップルは主に先進国の大手金融機関と提携し、どちらかというと大企業などの法人を相手にしたサービスを目的としているのに対しステラは主に個人向けの利用を目的として開発されているというのが大きな特徴である。例えばステラは人口の半分が銀行口座を持っていないとされるフィリピンの金融機関と提携してそういう人たちが送金や決済をできるようにする活動をおこなっている。ステラの通貨単位はXLM。運営主体はStellar Development Foundationという非営利団体である。

リップルは発行上限枚数がXRP1,000億と決められているがステラはXLM1,000億発行後毎年1%増加するように設計されている。これはステラの値上がりによりそれを利用する個人が困らないように通貨量を年々増やして価格を安定させる、すなわち金融緩和によるインフレ誘導のような効果を目指していると言える。ステラ時価総額は2018年4月中旬時点で第9位である。

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