暗号通貨(仮想通貨)ハッキングによる流出・盗難事件の歴史


2018年1月26日に発生した580億円相当の暗号通貨NEM盗難は取引所コインチェックによる日本円での返金ということで決着しそうだ。NEMを預けていた利用者にとってみれば日本円で強制決済された形になる。人によっては不本意な位置で利確させられたことになるかもしれない。

暗号通貨取引から生じた利益に対する課税税目は雑所得、他の所得と合算して総合課税される。有無を言わさず所得が確定してしまうことに困る人もいるだろうが、返金されるだけでも良しとすべきかもしれない。暗号通貨は改ざんの難しい

高度な技術を駆使したデジタルデータではあるが、それを置いてある場所のセキュリティが甘ければ暗号通貨そのものをハッキングで盗み出すことができる。昔であればお金を盗むという行為は銀行強盗だったり空き巣だったり、自分がその場に赴いて現行犯で捕まることもあるし時には身を危険にさらすというリスクを冒して実行するものだった。しかし今日、それなりの技能を持っていればフィジカルな危険を避けながらどこからでも「盗み」を働くことができる。邪な考えを持つハッカーにとっては都合の良い時代かもしれない。というわけで、暗号通貨取引所からの預かり資産の盗難や流出はどうしても発生してしまう。

同様の事件でもっとも初期に問題化されたのは2012年9月に発生した「ビットフロア(BitFloor)」事件だろう。ビットコインの発表が2009年1月なのでそれを暗号通貨の起源とすればその3年半後のことである。ハッカーがビットフロアのバックアップに侵入して秘密鍵を入手しビットコインを盗み出した。被害額は24,000BTC、当時のビットコインの価格は1BTC=USD10.4だったので被害総額は約USD250,000。ビットフロアは利用者に資金の払い戻しをしたが2013年に閉鎖を余儀なくされた。2014年に起こった「マウントゴックス(Mt.Gox)」の事件は今はハッキングによる暗号通貨盗難事件の代名詞にもなっている。2010年から稼働していたマウントゴックスは2013年までに世界のビットコイン取引の7割を占めていたいわば業界のジャイアントだった。マウントゴックスから流出したビットコインは約850,000BTC、当時のレートで約480億円である。その後マウントゴックスは民事再生法を申請し破綻、消失したビットコインは持ち主の元には戻らなかった。

2014年にはアメリカの取引所「ポロニエクス(Poloniex)」から当時の価値で約6,000万円分のビットコインが、2015年にはスロベニアの取引所「ビットスタンプ(Bitstamp)」がBTC19,000のビットコインが盗難にあっている。ビットスタンプは事件後マルチシグ(多重署名)を搭載した高セキュリティのウォレット「Bitgo」を採用した。2016年6月の「ダオ(The DAO)」はイーサリアム(ETH)の技術を使って立ち上げられたプロジェクトで当時150億円の資金を集めたがそのうちの65億円が不正送金によって流出。このときにイーサリアムは不正送金の前の状態に戻すというハードフォークをおこなって事態を収拾したが、それに反発したグループにより新たにハードフォークが行われイーサリアムクラシック(ETC)が生まれた。

香港の取引所「ビットフィネックス(Bitfinex)」からは2016年8月にBTC120,000、約66億円が消失。こちらは先のビットスタンプが採用しセキュリティが高いと評価されていたウォレット「Bitgo」のマルチシグアーキテクチャの脆弱性を突かれたハッキングによる、とも言われている。こちらはビットフィネックスが独自のBFXトークンを損失を受けた利用者に対して発行し返金を実行している。2017年12月にはスロベニアを拠点にするマイニングプール(複数の参加者が共同でマイニングをおこなうグループ)の「ナイスハッシュ(Nice Hash)」で76億円相当のビットコインが盗まれ、北朝鮮のハッキング集団に攻撃を受けたと思われる韓国の取引所「ユービット(Youbit)」は資産の17%を盗まれたとして破産申請をおこなっている。ユービットのユーザーには預けていた資産の75%程度が返却された。そして2018年1月に日本のコインチェックから580億円分のNEMが盗まれたということになる。

この他にも細かい事件は多いが暗号通貨の盗難は頻繁に起こっていると言えるだろう。マウントゴックス以外ほぼ被害を受けた暗号通貨資産は利用者に補填されているが各国で規制の追いついていないのでこれらが本当に盗難にあったのか、もしかしたらインサイダーの狂言による出来レースや詐欺かもしれないというところがわかりにくいも特徴である。利用者としてこうした被害を避けるためには手持ちの暗号通貨をインターネットから切り離されたハードウェアウォレットに保管しておき、取引のときに必要な分だけ取引所に送ることが対策になる。


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