
  
 富裕層の資産保全の手法として海外で用いられているプレミアムファイナンス。その真骨頂はやはり生命保険を通じた相続税対策にあると言える。
相続税のある国である程度の規模の資産家が亡くなるというのは、家族にとっては感情的な部分を別にしてもかなりの一大事である。仮に日本で10億円の資産を持つ人が死亡した場合、相続税の最高税率は55%。いろいろな控除額を引いてもざっくりと相続資産の半分ぐらいを支払わなければならないということになる。この金額の大きさ自体もちろん痛いのだが、更に大変なのがこれだけの納税額を現金で用意することだ。
プレミアムファイナンス:生命保険と相続対策
この規模の富裕層は往々にして資産の多くの部分を会社の株式や不動産などで持っていることも少なくない。自分の創業した会社が上場して一族が経営に関わっている場合はすぐに株式を処分して納税資金を作ることも難しいだろう。不動産も都内一等地にあるマンションなどであれば幾分買い手も見つかりやすいだろうが、郊外の大きな屋敷や地方の広大な山林なら売却するのは難しく、また急げば本来の価値よりかなり低い価格で処分せざるを得ないこともある。そうしたリスクを軽減するために海外ではプレミアムファイナンスを利用して高額の生命保険に加入し、
 現金を確保する方法がしばしば利用される。
例えば50歳のときに自己資金約20万ドルを元手にして約110万ドルを融資で調達し、合計130万ドルで一括払いの生命保険に加入する。30年後の80歳のときに死亡したとしてそのときに約500万ドルの保険金が払い出され、融資を受けた元本及び利息を返済しても約300万ドルの現金が手元に残るのでそれを相続税の支払いに充てることができる、という具合だ。
【プレミアムファイナンス利用シミュレーション】
商品:サンライフ社ジェネレーションⅡ(Sun Life Generation Ⅱ)
最大融資金額:契約開始時の解約返戻金の100%
 年利:3ヶ月LIBOR(0.92%※※)+1.75%=2.67%
 取引手数料:ローン金額に対して0.4%/年x5年
 ※※2022年3月21日時点
加入時年齢:50歳
 性別:男性
 保険料(一括払い):USD1,292,430
 融資金額:USD1,098,570
 保険料自己負担分:USD193,860
 金利(年間):USD29.332/年
 取引手数料(5年間総額):USD21,971
《画像》GenUSD300M50YO.jpg
①経過年数
 ②支払保険料の合計③解約返戻金
 ④死亡保障
 ⑤確定解約返戻金額
 ⑥非確定解約返戻金額
 ⑦リバーショナリーボーナス(現金価値)
 ⑧ターミナルボーナス(現金価値)
 ⑨確定死亡保障金額
 ⑩非確定死亡保障金額
 ⑪リバーショナリーボーナス(額面価値)
 ⑫ターミナルボーナス(額面価値)
※「⑦リバーショナリーボーナス(現金価値)」は運用途中で引き出すことが可能。
 ※「⑧ターミナルボーナス(現金価値)」は解約時に確定解約返戻金とともに払い戻しされる。
◆平均金利が現時点と同じ場合のシミュレーション◆
[契約からの経過年数10年目に死亡保障が発生した場合の収益]
死亡保障:USD3,239,967
 支払利息及び料金の総額:USD315,290
 収益(ローン金額と利息・手数料を差し引いた金額):USD1,826,107
 純収益/保険料自己負担分:942%
[契約からの経過年数20年目に死亡保障が発生した場合の収益]
死亡保障:USD3,960,214
 支払利息及び料金の総額:USD608,608
 収益(ローン金額と利息・手数料を差し引いた金額):USD2,253,036
 純収益/保険料自己負担分:1162%
[契約からの経過年数30年目に死亡保障が発生した場合の収益]
死亡保障:4,939,330
 支払利息及び料金の総額:USD901,926
 収益(ローン金額と利息・手数料を差し引いた金額):USD2,938,834
 純収益/保険料自己負担分:1516%
◆平均金利が1.5%高い場合のシミュレーション◆
[契約からの経過年数10年目に死亡保障が発生した場合の収益]
死亡保障:USD3,239,967
 支払利息及び料金の総額:USD480,075
 収益(ローン金額と利息・手数料を差し引いた金額):USD1,661,322
 純収益/保険料自己負担分:857%
[契約からの経過年数20年目に死亡保障が発生した場合の収益]
死亡保障:USD3,960,214
 支払利息及び料金の総額:USD938,179
 収益(ローン金額と利息・手数料を差し引いた金額):USD1,923,465
 純収益/保険料自己負担分:992%
[契約からの経過年数30年目に死亡保障が発生した場合の収益]
死亡保障:USD4,939,330
 支払利息及び料金の総額:USD1,396,282
 収益(ローン金額と利息・手数料を差し引いた金額):USD2,444,478
 純収益/保険料自己負担分:1261%
※死亡保障はいずれも非確定部分を含む概算
【プレミアムファイナンス利用のプロセス】
1.依頼主がローンの借り手及び保険契約者としてオフショア法人を設立する
 ・香港の信託会社を介したBVI会社を設立-設立料金USUSD3040。会社は依頼主が100%所有し、保険契約の申込のみに使用される
 ・信託会社は保険申込書類とローン文書の署名者に任命される(手数料USUSD250)
 2.依頼主が被保険者として保険会社へ保険の申請を提出する
 3.依頼主が融資会社へプレミアムファイナンスローンの申請を提出する
 4.ローン及び保険申請の承認後、保険契約の保証解約返戻金の100%に相当するローン金額が融資会社によって発行される
 5.依頼主が保険料の残額を支払う
 6.2年目の契約応当日、保険契約者をCayman Segregated Portfolio (SP) へ変更する(融資会社からの条件です)
  
 
 
 