2.3%/年の確定利回りが支給される貯蓄商品として好評を得ていたサンライフ社「ヴィジョン(Vision)」の現行の2年払いプランが今年の3月で供給停止となる。2年払いプランの上市から約一年後、新たにラインナップに加わった5年払いと10年払いのプランは今まで通り供給される。

もっとも有利な2年払いプランがなくなるのはとても残念なことだが個人的に予想していた通りの展開ではある。

サンライフ・ヴィジョン(Vision)誕生の背景

ヴィジョンの2年払い(一括前納も可能)がデビューしたのは2019年7月。毎年2.3%の固定利回りと運用によって変動する非確定利回りの2本立てのリターンが得られると同時に被保険者の名義変更と最長120年間の超長期運用が可能で、もしものことが起こった場合の死亡保障も備えた画期的なプランである。

今からわずか1年半前のことであるが、どこか遠い昔ように感じるのは僕だけではあるまい。当時から遡ること1ヶ月、「逃亡犯条例改正」に反対するはじめてのデモが香港において発生、デモは頻発・拡大し、連日のように世界のニュースに取り上げられるような状態が年末まで続いた。2020年年初に発生した新型コロナウィルスは今日に至るまで収束の兆しを見せることなく流行し、経済に深刻なダメージを与え、国境を超えた人々の移動を阻害し続けている。そんな一連の出来事の連鎖の前、今から思えば平穏無事だった2019年前半がヴィジョンという高い固定利回りを保証した商品が生まれた時代背景である。

予測不能な政策金利の急激な引き下げ

ちなみに現在、米国の政策金利(FF金利)は0〜0.25%と史上最低の水準(ゼロ金利)である。これが2019年5月頃には2.50%だった。現在のちょうど10倍もあったことになる。

景気が良いときに金利を上げて、悪いときには金利を下げるのは金融政策の基本である。つまりリーマンショックからの復活を狙って米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備委員会)は史上初のゼロ金利政策を採用、その状態は7年間維持され、ようやく2015年頃から利上げできるほどに経済が回復、2019年の当時は米金利は近年最高の水準にあったのだ。そんなタイミングでサンライフが満を持して開発したのが今となってはかなり高い固定金利付きのヴィジョンということになる。

米政策金利が2.5%もあれば毎年2.3%を払い戻すのは容易なことだ。その半年後の新型コロナウィルス流行と急激な景気後退によるゼロ金利政策への回帰を正確に予想できた人などいるはずもない。当時すでに人気商品となっていたヴィジョンは一転サンライフにとってのリスクとなった。だからと言ってすぐに商品を供給停止にするのは、世界的な金融商品のプロバイダーとしては名折れとなるご都合主義の誹りを免れないだろう。。サンライフの困惑は想像に難くない、、

サンライフ・ヴィジョン(Vision)供給停止の経緯

しかし一方で神風も吹いた。2020年3月を底にして世界の株価が猛然と上昇しはじめたのだ。2020年7月、サンライフは運用資産の最大80%までを株式などのリスク資産に投資することのできる新商品「ヴィクトリー(Victory)」を上市した。もちろん固定利回りの支給をなくし、その代わりに運用成績に連動する非確定利回りの支給を大きくした商品である。現時点でも株価は上昇を続け、ヴィクトリーは短期間でヴィジョンに代わる人気商品に成長した。

「今だ!」とサンライフの商品責任者が叫んだかどうかはわからない。株高で新商品の地位が固まったこの時、今とはまったく違う環境下で開発した旧人気商品の供給をひっそりと停止する。会社のリスク管理上これは当然のことである。

一方で供給する側の会社にとってリスクが高く不利な商品は、当然申し込む側の我々にとってはリスクが低く有利な商品ということになる。運用開始後7年で確実に損益分岐点を超える現行の収益構造を持つヴィジョンの年払型の供給は来月2020年3月までとなっている。このゼロ金利の世の中、将来に渡って固定金利支給の契約を希望する場合は場合は以下より。

【ヴィジョン(Vision)の見積希望・お問い合わせ】
https://ws.formzu.net/fgen/S19274410/

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