2017年12月24日の現在まで北朝鮮は今年16回のミサイル発射と1回の核実験(合計6回目)を実行している。

これだけ回数を重ねればどうしても「慣れ」てしまって、ついつい危機感が薄れてしまうがもちろん日本、韓国、中国を含む東アジアが大変危険な状況下にあることには違いない。

世界の軍需企業ランキング

一方今年就任したトランプ米大統領は幾度となく強い言葉で北朝鮮に警告を発している。

現時点ではまだ実際の軍事攻撃には至っていないが時間が経過するほどに北朝鮮の兵器開発は進みやがてはアメリカ本土に核弾頭を積んだ大陸間弾道弾(ICBM)を撃ち込める可能性は現実味を帯びてくる。

米国側としてその阻止は必須のことだろう。実際、北朝鮮のミサイルがおもちゃに見えるほどの精度を持った夥しい武器を備えている米国が本気で攻撃すれば対北朝鮮の戦争は数日あるいは数時間で終わると言われている。しかしそうなれば米国はほとんど無傷でも近距離にある周辺諸国には甚大な被害が及ぶ可能性は否めない。。決してそんなことにはなってほしくはないが、そんな状況下で米国の軍需産業の業績が良いのも人の世の現実である。

軍事行動に移しそうで移さないとという緊張感が続けば周辺諸国にも備えとしての兵器の需要が大きくなるという側面もあるだろう。そうした環境の中、特に常に有事の関係者になりうる米国の軍事関連企業の株価は今年軒並み右肩上がりだった。

以下は2016年度の世界の軍需産業で上位を占める企業の状況である。

第一位:ロッキード・マーティン(Lockheed Martin Corp.)米国

取引市場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)

銘柄コード:LMT

世界の軍事関連企業でトップに君臨するのが2016年の売上高がUSD410億(約4.6兆円※1)のロッキード・マーティン。

田中角栄元首相ら多くの政財界人が逮捕、訴追されることになった贈収賄事件であるロッキード事件で有名なロッキード社とマーティンマリエッタ社が1995年に合併して出来た会社。ロッキード事件は航空機の納入に係る事件だったが、ロッキード・マーティンの本業は軍用機をはじめとした兵器の製造である。第五世代戦闘機と呼ばれるF-35ライトニングⅡ(日本、イギリスも出資)やF-22ラプター(ボーイングと共同開発)、レーザー兵器のATHENAなどを開発している。年初USD250台だった株価は今約USD320ぐらいで推移している。

第二位:ボーイング(Boeing)米国

取引市場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)

銘柄コード:BA

こちらは民間航空機の方がメインだが軍用機も生産している。2016年の売上は軍事部門だけで295億ドル、全体では946億ドル(約10.4兆円※1)の巨大企業である。P-8Aポセイドン海上警備航空機やAH-64Eアパッチヘリコプターを英国に販売している。年初USD150台だった株価は今USD290を超えほぼ倍増の勢い。

第三位:レイセオン(Raytheon)米国

取引市場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)

銘柄コード:RTN

「パトリオット・ミサイル(MIM-104)」で有名な世界最大の誘導ミサイルメーカーであるレイセオンの2016年度売上は229億ドル。ミサイルだけでなくミサイル防衛やレーダー関連も強い。

年初USD140台から現在約USD190程度を推移。

第四位:BAEシステム(BAE Systems 銘柄コード:BA)英国

取引市場:ロンドン証券取引所(LSE)

銘柄コード:BA

国有航空宇宙企業

「ブリティッシュ・エアロスペース」を起源に持つイギリスの軍事関連企業。

2016年度売上は228億ドル。英国海軍の軍用機や潜水艦、戦闘機ユーロファイター・タイフーンなどを製造している。

こちらはロンドン市場で年初がGBP590台だったのが今は約GBP570と若干株価を下げている。米国市場でもADR(米国預託証券)で売買可能。

第五位:ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman Corp.)米国

取引市場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)

銘柄コード:NOC

航空機、人工衛星、ミサイル、軍艦などを製造。世界最大のニミッツ級航空母艦はノースロップ・グラマンが建造している。2016年度売上は214億ドル。年初USD230ドル台から現在はUSD300超えで推移。

第六位:ジェネラル・ダイナミクス(General Dynamics Corp.)米国

取引市場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)

銘柄コード:GD

宇宙防衛から造船まで幅広い兵器の製造をおこなう企業。バージニア級原子力潜水艦などを建造するほか、米陸軍の主力戦車であるM1エイブラムス戦車などを開発している。2016年度売上は192億ドル。年初USD170D台から現在USD200を超えてきている。

第七位:エアバス・グループ(Airbus Group)ヨーロッパ複数国、本社フランス

取引市場:ユーロネクスト・パリ証券取引所他数カ所

銘柄コード:AIR:FP(パリ)

世界でボーイングと市場シェアを二分する航空会社。2016年度売上は125億ドル。全体の売上に対する兵器部門の売上割合は2割程度だが米国以外の世界ではBAEシステムに続いて2位である。年初株価はパリ市場で約EUR63から現在EUR84。

第八位:L-3コミュニケーションズ(L-3 Communications 銘柄コード:LLL)米国

取引市場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)

銘柄コード:LLL

ロッキードとマリエッタマーチンが合併するときにいくつかの部門を分離して作られた会社。命令・指揮・通信・諜報活動・監視偵察(C3ISR)システムと装置、アビオニクス、海洋機器、訓練装置、航法装置を供給する企業。兵器の製造だけでなく軍事教練請負や戦地での後方支援を行う民間軍事会社的な部門もある。2016年度売上は89億ドル。年初株価USD150台から現在USD200を目前にしている。

[データ元:ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)]

こうした株式を取引する方法はいくつかある。

まずはアメリカやヨーロッパの証券会社に口座を持って取引する方法。現地の証券会社なので取引手数料は安い。米国株はHSBC香港やBOOM証券で購入できるのですでに口座を持っている人はすぐに取引が可能。また楽天証券やSBI証券など一部の国内証券会社でも海外株を取り扱っているところはあるのでそういうところを利用する方法もある。

いわば「死の商人」と揶揄される企業に投資するしないは個人の価値観の判断するところで良いと思うが、いつ何時でも状況を把握しどうやったらそこに投資できるか方法を知っておくことは投資家として重要である。

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