2017年は世界の株式市場にとってかなり良い年だったと言える。年初19,298.68円ではじまった日経平均株価は2年ぶりに2万円台にに乗せ、大納会の終値22,764.94円と1991年以来の2万3,000円台目前に迫った。通年で18.4%の上昇である。ビジネスマン出身のトランプ大統領が就任した米国のダウは年初19,298.68から年末終値22,764.94へと27.8%の上昇、日々史上最高値を更新中という具合である。

ヨーロッパ主要市場の年末終値はドイツのDAXが12,917.64(通年13.1%上昇)、英国のFTSE100が7,687.77(通年7.6%の上昇)、フランスCAC40が5,312.56(通年9.6%上昇)と堅調、いずれも史上最高値圏で推移している。中国圏の上海指数は3,135.92から3,307.17へと5.5%上昇、2007年に記録した6,000台、2015年の5,000台に遠く及ばない水準は他に比べて霞んで見えるが香港のハンセン指数は年初の21,993.96から年末終値29,919.15へと36%も上昇。大台を目前にして引け、2007年に記録した過去最高値である31,958を射程におさめている。

BRICSのインドSENSEXは年初26,711.15で始まり年末は34,056.83と27.5%、ブラジルボベスパ指数は60,227から76,402.08へと26.9%の上昇。株式だけでなく商品においてもWTI原油が54.2から60.1へと10.9%、ゴールドは1,151から1,305へと13.3%上昇するなど主要な金融商品が軒並み好調だった。また上記の伝統的アセットと同列に並べて語るのは少し違うかも知れないが今年はビットコインをはじめとする暗号通貨が大きく値を上げた。

ビットコインは年初1BTC=150,000円だったのが一時200万円を超えるほどに上昇して年末は150万円程度の水準だった。アルトコインと呼ばれるビットコイン以外の暗号通貨も軒並み急上昇、元の価格が低かったというのもあるが一年で数十倍、数百倍になったものもある。これがバブルかどうかは弾けてみないとわからないが現状で暗号通貨を売買することにより利益が取れているのは確かなので下落のリスクを覚悟のうえで投資(投機)の機会として捉えるのは全く差し支えないと個人的には思う。

2018年の今年はどうなるか。米国の税制改革で法人税が35%から22%へ下げられることは大きい。これにより企業の利益が増大することは間違いなく、またトランプ政権が時限措置で米国企業の海外留保利益の本国への移動の税負担(現状35%)を軽くすることを検討しており、米国内に大量の資金が還流する可能性がある。その余剰資金が設備投資や企業買収などを通じて米国の景気に良い影響を与えるというのは見通しとして充分現実的だと思う。

そんな状況下、2018年はAIやIoTなど新しい技術が米国を中心にさらに大きく発展するかもしれない。米国の好調は貿易相手の日本や中国にも良い影響があるだろう。特に中国系IT企業の活躍は注目に値する。米国経済の影響力は大きいので波及効果は多かれ少なかれ世界中に及ぶだろうがもちろん地域内部の要因により微妙に温度差が出る。昨年のブレグジットのあと、各国で右派勢力の台頭が盛んになっている状況は変わらない。

政権を取るところまではゆかなかったが2017年各国議会で極右政党の躍進が見られた。EU分裂の火種は今年も欧州の不安定要因にはなりうる。アジア新興国市場も2017年を通じて非常に好調だった。米国経済の好調が続けば輸出産業の強いこの地域の経済にも引き続き良い影響があるはず。

一方、上記に述べたような米国企業の海外留保の本国回帰は多少のマイナス要素となるかもしれない。いずれにしても株式市場は多くの国で過去最高値圏にあり、ここから先はいわば世界経済は未知の領域を突き進むことになる。まだ見ぬ人類の未来を楽しみに今年も注視してゆきたい。

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