2021年7月1日、香港返還記念日。香港は祝日である。香港がイギリスから中国に返還されてから24年、香港国家安全法の施行から1年が経った。

かつてこの日は毎年香港ではデモ行進(当局届け出済デモ)が行われる日だったが昨年に続き今年も新型コロナ感染のリスクを避けるという名目でデモは禁止となっている。その前の2019年は香港民主化デモの連鎖が盛り上がり始めていた時期で立法会を占拠するなど
最も過激な記念日デモがあった。今年の記念日に先立って、香港の民主派メディアであるアップルデイリー(頻果日報)が休刊となり、同社の幹部が国家安全法違反で逮捕されるということがあった。

香港

香港は返還から50年は現体制を維持する「一国二制度」の下にあるので、中華人民共和国に”完全復帰”するまで残すところあと26年ということになる。日本の一部マスコミでは国家安全法の施行をもって「香港の一国二制度は終わった」という論調もあるがそれは早計である。

香港ではいまだに中国の人民元とは別の香港ドルが流通しているし税制もまったく異なる、香港の車は左側通行だが中国では右側通行だし、中国と香港の間を行き来するときにはイミグレーションで出入国審査を受けなければならない、僕自身も居住権を持っている香港には制限なく居ることができるが、中国本土には2週間しか滞在できない。一国一制度になって欲しいと思っていないが仮にそうなったとして香港から中国本土への移動と滞在が自由になればかなり便利な側面もある。しかしそうなってはいない。

返還されて以降香港の宗主国はあくまで中国なのでいざとなったら香港が中央政府の意向に逆らうことができないのは以前となんら変わることはない。もちろん言いたいことがすべて言える言論の自由がかつてより制限されたというのは事実であるがそれはこれまで香港政府の背後にいた力が表層に出てきたに過ぎないのだ。

それをもって日本のコメンテーターなどが「自分の知っている自由な香港ではなくなった」ということや罪のない人が主義主張を基に弾圧されるという嘆きを情緒的に「一国二制度は終わった・・」と表現するのは自由だし、あえてそう表現をすることにより我々日本人の多くが標榜する自由と民主に反する概念の台頭を牽制する趣旨には賛同する。その上で良くも悪くもいまだ中国本土と同じ制度の下にあるとは到底思えないのがこちらに住んでいる正直な感覚である。我々個人個人はそうした情緒やバイアスに惑わされずに香港は依然として本土とはまったく違う制度の下で経済活動が行われていることを
認識しておくのが賢明だ。

中国

2021年7月1日はまた中国共産党創立100周年で北京では記念式典が開催された。習近平国家主席の演説ではっきりと語られたのは「ひとつの中国」の原則を背景にした台湾の統一。これは今後数年の東アジアにおけるもっとも大きな懸念となるはずだ。あの場で口にすれば何もしないわけにはゆかないし、もし軍事行動での統一を図ればアメリカが動く可能性は誰にも否定できない。

そうなれば距離的に近い日本の米軍基地が軍事行動の拠点となり、相手にとっての攻撃対象になるのは想定の範囲内としなければならないだろう。決して対岸の火事ではなく紛争の当事者になってしまう危機。日本にとっては敗戦以来約80年ぶりの有事となるかもしれないということだ。頼みは核保有国同士の戦争がこれまで起こったことはないこと、そして今後も起こしてはいけないという人類共通の認識が働いて軍事衝突以外の解決方法を探れるかどうか。どうにかそちらの方向に進んでほしいものである。

日本

7月21日から8月8日までは57年ぶりに東京で開催されるオリンピックだ。いまだ国内にも開催に反対する声が多い中で多くの選手やスタッフを海外から受け入れて感染が広がらないように対策しなければならない。「おもてなし」で盛り上がった開催決定の頃からは想像のできなかった未来が訪れ、オリンピック史上最も難しい環境で行われる大会のひとつとなってしまった。やるのであれば、なんとしても成功させてほしい。

ビットコイン

秋冬には「なんで開催前はあんなに心配していたのだろう?」と笑いながら話せるように。2ヶ月半前につけた最高値の約半分の価格で推移しているビットコイン(BTC)超大物投資家ジョージ・ソロスのファンドがビットコインの取引を開始するというヘッドラインが流れた。しかし現時点で価格に目立った動きはない。そんなこんなで早くも2021年は折り返し、下半期に入る。


0
2011年の発行開始以来毎週配信されているBorderless Group代表玉利将彦のメールマガジン

メール講座【国境なき投資戦略】

* 入力必須