HSBC香港のインターネットバンキングの利用、そしてトラブル解決の難易度が急激に高まっている。

海外の銀行なので英語あるいは中国語でなければコミュニケーションが取りにくいのはもとより覚悟の上だと思うが、最近はそれに加えて主な操作機能が従来のインターネットバンキングからスマホアプリに移行していること、そしてAIの採用など科学技術の発達による負の側面が影響しているように思える。

HSBC香港インターネットバンキングの歴史

本来アプリやAIなどは世の中をより便利にするものではある。問題は使う側がそれについていっているかどうかだ。。

僕がHSBC香港を使い始めた2002年、インターネットバンキングは一対のID(Username)とパスワードだけでログインして使うシンプルなものだった。もし不埒な輩がその2つの情報を入手すればすぐにハッキングが可能という、今から考えればセキュリティなど無いに等しい。

その後まもなくパスワードが2つ(第一パスワード、第二パスワード)になり、2004年頃には口座情報とシンクロした乱数(セキュリティコード)を表示するセキュリティデバイスが登場した。IDとパスワードの他にデバイスに表示される6桁のセキュリティコードを入力してログインする形だ。ハッキングするためにはログイン情報の他にそのデバイスも入手しなければならないのでセキュリティレベルは格段に上がった。

初代のセキュリティデバイス(ラグビーボール型)はボタンを押せばコードが表示される簡単なものだったが、その後ログインや手続きの認証、そして送金の実行などのより複雑なデバイス(電卓型)にモデルチェンジした。それが2012年頃のことである。

その後のスマホ時代の到来でHSBC香港にもアプリが登場し、セキュリティコードがアプリ内で生成できるようになった。しばらくはアプリのモバイルセキュリティデバイスと並行して使われていた電卓型のデバイスも2020年4月には発行停止となり、現在はアプリに統一されている。

年々高まるHSBCモバイルアプリの重要性

現在ネットで口座にアクセスするにはパソコン経由でHSBC香港のサイトからインターネットバンキングを使う方法とスマホアプリから入る方法がある。パソコンからアクセスする場合はアプリで生成したセキュリティコードでログインする以外にもIDとパスワードのみで入る方法もあるが、この方法でログインすると使える機能に制限がかかる。

例えば残高を見るぐらいであればID・パスワードのログインで充分だが、「各種設定の変更」や「送金」など重要な操作を行う場合は必ずセキュリティコードを使ったログインをしなければならないという具合である。つまりHSBC香港を単なるお金の置き場所ではなく、振替や送金が可能な口座としてきちんと機能させるにはモバイルアプリの設定が必須なのだ。

2010年ごろから数年間、円高や海外での資産運用志向が高まったことが原因で非常に多くの日本人がHSBC香港の口座を開設したが、当時はスマホアプリではなくセキュリティデバイスの時代だった。つまり、その時期に口座開設をした人は自分でアプリをダウンロードの上、設定しておかなければすでに重要な操作ができなくなっているということ。稀にまだ以前にもらった電卓型のセキュリティデバイスに電池が残っていて使える場合もあるが早晩アプリは必須になるのでまだ設定していない人はすぐにやっておくべきだ。

アプリ未設定の弊害は他にもある。かつてはパソコン経由のインターネットバンキングでできていた手続きの一部が取り消され、スマホアプリを通じてしかできなくなっている。例えばそこそこ大きな金額を送金する際には事前に「送金先登録」という手続きをおこなわなければならないが、これが今はパソコン経由ではできず、必ずアプリから手続きをしなければならない。

また何らかの手続を行うとき、その最終確認をアプリで認証しなければならないという場面も多く、アプリの未設定はトラブル解決を困難にする。人間、年を取るとなかなか新しい技術を利用する手続きが億劫で、こういうことにはついつい腰が重くなり着手ができない。”お願いだからこのまま変えないでくれ。。”と図らずも願ってしまう気持ちもよく分かる。

最新の設定を行うか、口座を解約するか

しかし技術の進歩はそんな我々を待ってくれず、熾烈な競争の中にある大銀行は常にそれらを採用し進んでゆく。もし今HSBC香港口座をたいして使っていないというのであればいっそのこと口座を解約するというのもひとつの考え方だろう。一方でほんの100万円程度の入金でも手続きが止まるほど、海外とのお金のやり取りにおける日本の銀行の使い勝手が悪くなっている昨今、HSBC香港は海外間の資金移動のさらに貴重なハブとなっているのも事実。

今後もHSBC香港を使ってゆきたいというのであれば、自分が最新のシステムにフォローできているかどうか一度見直してみると良いだろう。

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