
口座を開設したときは、誰もが「これで海外資産の入口ができた」と意気込んでいたはずだ。
ところが時は流れ、気がつけば開設から10年。
仕事や家族のことで忙しい日々の中で、口座のことなど忘れてしまっていた、という人も少なくない。
いざ使おうと思ったときに、そこには予期せぬ「壁」が立ちはだかる。
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10年放置の口座に起こりがちなこと
HSBC香港の口座を持っていれば、世界中どこにいても資産にアクセスできると多くの人は考えている。
しかしそれは「適切に維持管理されていれば」という前提があってのこと。
10年という歳月の中で、パスポートは更新され、住所も変わり、スマートフォンも何度も買い替えている。
それにもかかわらず、銀行側の登録情報を何ひとつ更新していない――
そんなケースは決して珍しくない。
今回は10年放置の口座に起こりがちな4つの典型的なトラブルと、その対処法を解説する。
■ パスポート期限切れによるトラブル
HSBC香港は本人確認書類の有効性を極めて厳格に管理している。
登録されているパスポートが期限切れのままだと、オンラインバンキングからの送金、定期預金の解約、投資商品の売買などが段階的に制限されてゆく。
解決法は新しいパスポート情報を銀行に登録し直すこと。
原則として香港の支店窓口に本人が出向いて手続きを行う必要がある。
新旧両方のパスポートと現住所証明書類を持参し、署名照合を経て登録が更新される。
日本からの郵送やオンラインだけでの完結はセキュリティの観点から認められていない。
■ ATMカード期限切れによるトラブル
ATMカードの有効期限は通常10年。(カードのスペック変更などで10年以内に更新されることもある)
10年が経過していれば、すでに一度は再発行が必要なはずだ。新しいカードは登録住所宛に郵送されるが、住所変更を届けていなければカードは届かず、旧カードも使えない、という二重の機能停止状態に陥る。
解決法はまず登録住所の更新。
住所証明(公共料金の請求書や住民票の英訳など)とパスポートを揃えて住所変更を申請し、その上でカードの再発行を依頼する。
香港国外への郵送には追加の手続きと時間がかかる点にも注意したい。
■ 口座凍結によるトラブル
数年にわたって取引のない口座、または本人確認情報が更新されていない口座は、HSBC側の判断によって凍結される。
凍結されると入出金はもちろん、ときにはオンラインバンキングへのログインさえできなくなる。
解決法は香港の支店に本人が出向き、凍結解除の手続きを行うこと。
パスポート、住所証明、場合によっては資金源証明書類まで求められることがある。
日本国内から完結させることは極めて難しいため、香港渡航を前提にスケジュールを組む必要がある。
■ アプリ未登録によるトラブル
近年HSBCはセキュリティ強化のため、モバイルアプリでの二段階認証を事実上の必須としている。
アプリ未登録のままではオンラインバンキングへのログインや送金時のワンタイムパスワード受信ができず、口座は「あるのに使えない」状態となる。
解決法は香港滞在中にアプリを登録するのが最も確実だ。
日本にいながらの登録も不可能ではないが、SMS認証の問題やセキュリティ確認のため、カスタマーサービスとの英語または広東語でのやり取りが必要となる。渡航前に余裕を持って対応しておきたい。
今こそ口座の総点検を
これら4つのトラブルに共通するのは、「気づいたときには手遅れになっている」という点である。
そしてもう一つの共通点は、解決には必ず香港渡航が前提となるケースが多いということだ。
ご自身の口座が今どのような状態にあるのか、登録情報は最新か、アプリは使える状態か――。
口座開設から10年が経過した今こそ、一度総点検をおすすめしたい。
資産は持っているだけでは意味がない。いつでも自由に動かせる状態にしてこそ、本当の意味で「自分の資産」と言えるのだ。
