2019年10月1日より消費税が8%から10%へ引き上げられることが改めて確認された。家計、企業、政府を合計すれば世界でもトップクラスの資産を持っている日本では政府がほぼ国内で賄っている1,000兆円レベルの借金は実際はそれほどの問題でもあるまい。

投資活動にかかる税金

だがマスコミを通じて政府債務をクローズアップすることにより危機をあおる。それにより国民心理に”増税は仕方ないか。。”という感覚を刷り込む。国が先に国民からお金を借りてそれを使い「借金がこんなに大きく膨らんでしまった!国民の皆さん、この危機を乗り切るには増税しかありません。。」とあとから強制徴収する。結局国民はてっきり自分のものだと思っていた手元のお金が実はそうではなかったとあとで気づくオチになる。

まあ日本人は貯蓄志向が高いので放っておけば資金は銀行口座に滞留するばかり。それは景気にとって良いことではないので政府がそのお金を借りて代わりに経済を回してしまうというのは一定の合理性がないこともない。かくして日本は尻上がりに税負担が重くなってゆく。。日本人が貯蓄するよりも積極的に投資をするように生まれ変わればいくらか様相は変わってくるかとも思うが、、それを考えるとき投資活動にかかる税金も決して安くないという現実に直面してしまう。

投資にかかる日本の税金を以下に分けてまとめてみる。

・株式
・利息
・FX
・先物取引
・仮想通貨(暗号通貨)

株式投資の税金

日本における投資の税金でまず代表的なものはキャピタルゲイン税や配当、利息にかかる税金だろう。株式を売買して得た利益(キャピタルゲイン)、株式を保有していて得た配当(※)、そして預金に付いた利息に関しては2018年時点ではその利益の金額に対して20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の納税が必要になる。※上場株式を保有している大口株主を除く株主の場合株式の場合は損失(キャピタルロス)が発生する場合があるがそのときは売却益と売却損、そして配当を損益通算することができる。プラスマイナスを通算して残った利益に20.315%の課税がされるということだ。

損益通算して仮に損失が出た状態であればその年は納税する必要がないうえに、その損失は翌年以降に繰り越すことが可能。損失は最大3年間繰り越すことができる。この株式の所得税の課税区分は譲渡所得あるいは配当所得であり、同じ課税区分にある米国株や投資信託に関しても損益通算ができることになる。

国内の取引業者を利用した場合のFX(為替証拠金取引)の税金

FX(為替証拠金取引)の場合、国内の証券会社で取引した場合と海外で取引した場合で課税の方法が異なる。国内の業者を使って得たFXの損益(スワップ金利を含む)は株式と同様損益通算をおこない、最終的に出た利益に対してやはり20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の納税をする。そしてもし損失が出た場合はむこう3年間損失の繰越をすることが可能なのも株式と同じだ。しかしFXの損益と株式の損益を損益通算することはできない。なぜかというと課税区分が違うからだ。FXの課税区分は雑所得となっており、譲渡所得にあたる株式と一緒に計算することができないのだ。一方、同じ雑所得の税区分にある日経225など株価指数先物、株価指数オプション、CFD、バイナリーオプションなどとは損益通算が可能である。以上は申告分離課税と言って、獲得した利益に対して一律20.315%を納税すれば良い。

海外の取引業者を利用した場合のFX(為替証拠金取引)の税金

同じFXでも海外の証券会社を使っていると課税方法が少し変わってくる。海外でのFX取引で得た利益に関しては申告分離課税ではなく、給与所得等の他の所得と合算して全体の所得の規模に応じて課税される総合課税となっている。所得税の総合課税では金額に従って税率が上がってゆく累進課税となっている。2018年時点の総合課税の所得税関連の税率は以下の通り。

課税所得:195万円以下 税率5%(控除額0円)
課税所得:195万円〜330万円 税率10%(控除額97,500円)
課税所得:330万円〜695万円 税率20%(控除額427,500円)
課税所得:695万円〜900万円 税率23%(控除額636,000円)
課税所得:900万円〜1,800万円 税率33%(控除額1,536,000円)
課税所得:1,800万円〜4,000万円 税率40%(控除額2,796,000円)
課税所得:4,000万円〜 税率40%(控除額4,796,000円)

復興特別所得税:所得税額の2.1%

住民税:10%(市区町村税6%+都道府県民税4%)

すなわち他の課税所得と海外でのFXの利益を合算して695万円以下であれば国内でFX取引をするよりは納税額は安くなるが、それを超えると累進で税率が高くなってゆく。仮に給与所得が4,000万円以上の人は海外のFXでわずかな利益をあげただけでもその半分を納税しなければならないということになる。

仮想通貨の税金

2018年時点でこれと同じ範疇に属しているのが仮想通貨(暗号通貨)である。仮想通貨の売買によって得られた法定通貨建ての利益は昨年2017年に雑所得として総合課税されることになった。仮想通貨同士で損益通算をすることはできるが損失の翌年以降の繰越はできない。投資にかかる税金としてはかなり不利である。さらに仮想通貨から仮想通貨に変換したとき、そして仮想通貨を使って商品を買ったときもその時点の価値と取得価格と差額に対して課税されることになった。これは確定申告の締めの期日である12月末にかなり近づいてから決められたのですこぶる評判が悪かった。

早い時期に発表されていれば同様の取引をおこなうときにしっかり記録をしておいたり、その取引自体を取りやめるなどの判断も可能だったからだ。政府の判断が遅れた理由は新しい概念である仮想通貨をどう取り扱うかということに迷っていたからだと言われる。要するに仮想通貨は通貨なのか株式などの金融資産なのかそれとも実物資産なのか?通貨や株式の類であるとはっきり言えれば申告分離課税も考えられるが、不動産のような実物資産であればその取引は消費税の対象になる等々。。そんな諸々の結論が年内につけられなかったのでとりあえずその他の所得である雑所得に放り込んでおいたのかもしれない。

0
2011年の発行開始以来毎週配信されているBorderless Group代表玉利将彦のメールマガジン

メール講座【国境なき投資戦略】

* 入力必須