投資や資産運用はまだ始めていない。預金は日本の銀行にすべて日本円で預けてある。しかしこのご時世、銀行にお金を置いておくだけではまったくと言って良いほど殖えない。何かで運用しなければならないと思っているが、何から手をつけて良いのかわからない。「まずはセミナーにでも参加してみるか。。」多くの人にそういう時期がある。

投資初心者が陥りやすい罠

未知の一歩を踏み出す良い機会ではあるが、同時に危険なタイミングでもある。これは運不運の問題でもあるが、投資初心者のこの時期にどういう情報に出会うかというのは非常に大切だ。ときにそれは以後の人生にも大きく影響を与えることにもなりかねない。

例えば以下の2つの投資案件がある。

「世界的大手保険会社が運営する貯蓄性の高い生命保険。保険料一時払いで死亡保障は5,000万円。20年後に解約して返戻金を受け取った場合の返戻率は170%」

「画期的な水質管理技術を用いたアジアでのエビの養殖事業に投資すれば月5%の配当が受け取れる。償還は随時可能でいつでも元本を回収できる」

生命保険はもしもの場合に家族が困らないように死亡保障を確保しておく安全策である。同時に生命保険は運用商品としての側面もあり、長期間契約を継続したあとに解約をすると解約返戻金が戻ってくる。

解約返戻率は保険料に対する返戻金の割合だから70%の利益が出る投資と考えることもできる。20年で70%の運用益は単利で年利3.5%。一方、エビの養殖事業は年利に直すと60%、2年と待たずに資金が倍になる計算だ。2つの投資を利回りで比べたら雲泥の差だ。

だが投資に関してある程度経験と実績のある人が後者の話を聞けばまず”年利60%!?胡散臭い。。仮にそれが本当でも少なくとも自分たち一般庶民にそんなウマい話が回ってくるのは変だ。。”と感じるはずだ。(もちろん投資経験があっても何度もそういう案件に投じてしまう人も時々いるがそれは性格とか依存将的なものとかの特殊な問題なのでここでは置いておく)

理由として経験豊富な人はどれだけ上手に運用しても60%どころか年利回り10数%のパフォーマンスでさえ達成するのは容易なことではないことを経験則でわかっているし、あるいは以前に自分自身や知り合いがすでに同様の怪しい案件に引っかかったことがあり身に沁みているからかもしれない。

ところが“何か運用をしなければならない”と考えている冒頭のような投資初心者がこれらの話を聞いたとする。それでも実際エビの方に投資する人は多くないはずだが、そうしてしまう確率は高い経験豊富な人よりだろう。リターンの数字が現実的かどうかを判断する知識と経験が乏しいところに一刻も早く第一歩を踏み出さねばという「焦り」も手伝ってしまうからだ。

そしてしばしば、というか頻繁に後者のような投資は途中で頓挫してしまう。そのときまで投資を続けていれば配当が止まってしまうどころか下手をすれば元本まで失ってしまうという事態に見舞われることも少なくない。これが危険なタイミングであるという由縁だ。そして多くは「もう懲り懲りだ。投資は金輪際やめておこう」となってしまう。

投資の順序を学ぶ重要性

投資の中でも傍流も傍流のそんな案件にたまたま引っかかって投資全体を否定してしまうのは正直もったいないことだ。。決して焦ってはいけないし、そもそも焦る必要のないことなのに。

投資や資産運用の初心者がまずやるべきことは何か?それは「順序を学ぶこと」ではないかと僕は思う。まずは今の自分がどんな状態にあるのかを把握し、次に理想的な状態をイメージし、最後にそこに向かってどのように行動を起こすかだ。出発点からゴールをしっかり見極め、そこに向かって正しい一歩を踏み出すこと。そうすれば二歩目、三歩目は自ずと正しい方向へ進んでゆくはずだ。

これまで60回以上の回数を重ね、800人以上の参加者を数えてきた「HSBC香港口座開設&海外資産運用勉強会・座談会」の底流に一貫して流れている思想である。

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