京町家の宿泊施設投資と予測不能な未来と


「オウさん、そこの残材今のうちに持っていっておいて!」

「わかた。すぐに行くね!」

1989年、冬の建設現場。ゴミ袋を担いで歩く姿が心もとない。留学で来ている彼は結構なエリートのはずだ、本国では工事現場での労働などとは程遠いところにいるのだろう。

1989年スキー場に行く日

「オウさん、持ってく場所わかってる?」

「大丈夫よ、タマリさん!心配ないよ!!」

結果、彼の持っていったゴミ袋はぜんぜん違う場所に置いてあり、再び然るべき場所に運ぶという二度手間の作業が発生してしまう。

”まったく、彼らはできないとかわからないとか絶対に言わないんだよなぁ。。言ってくれれば教えるのに”と思わず苦笑が漏れる。

学生時代の現場バイト。日給の7,500円を現金取っ払いでもらえる建設現場の仕事は自分にとってとても都合が良い。3日働けば深夜バスを使った2泊3日のスキーツアーに行けるからだ。スキーにハマって以来それが自分の毎週の生活リズム。

このバイトをはじめて2年になる僕は最近現場に増えてきた中国人留学生のアルバイトたちに指示を与えることも多い。この日給でも彼らの本国では月給の半分ぐらいになるらしい。仕事をクビにならないために虚勢をはる彼らの指導は少々疲れるが一生懸命な彼らと働くのは嫌ではない。

さて、17:30の作業終了のサイレンが鳴ればしばし仕事仲間とおさらばして白銀のゲレンデにまっしぐらだ!

2019年志賀高原

“なんじゃ、こりゃ”

2019年、志賀高原。プリンスホテルのロッカールームにひしめくスキーヤーたち。しかし飛び交う言葉はほとんどが中国語。スキーでここに来るのは実に30年ぶりだが、外国人の密度の高さには本気で目を疑った。中国人以外にも韓国人や欧米人も多く、日本語は耳をすまし集中してようやく聞こえてくる程度だ。自分も中国人の妻とハーフの子供、香港在住のロシア人と中国人の夫婦そしてその娘さんと一緒のグループで来ているので改めて驚くのはおかしな話ではあるのだが。

今回長野に入る前、東京や京都にも滞在した。中国人の顧客が興味を示している東京のマンションや京都のホテルの物件視察、そして関連の打ち合わせを行なうためだ。世界的にも有名な観光地である京都でも同じような状況だった。東福寺や二条城などの観光地のみならず市街地の烏丸でも聞こえてくるのは外国語ばかりだ。

京町家の簡易宿泊施設

京都では「町家」と呼ばれる古い木造家屋をカフェやレストラン等飲食店やホテルやシェアハウスなどの宿泊施設に改造して再利用することが盛んに行われている。一戸建ての町家に日本風の中庭や畳敷きの部屋、床の間、掛け軸、掘りごたつなど伝統的な内装を施して4〜10人ほどのグループが宿泊できるように改造し宿泊客を受け入れる形のホテルが2016年頃から増えていて、Booking.comやAgoda、Airbnbを通じて世界各国から京都を訪れる外国人旅行客の間で大人気となっている。

数多くの世界文化遺産を抱え観光資源に事欠かない京都ではこうした町家風宿泊施設の中には宿泊率が80%を超えるものも少なくない。しかも桜や紅葉などのハイシーズンには普段の3倍の宿泊費でも数ヶ月前から予約でいっぱいだと言う。その宿泊施設に客として宿泊するだけでなく、投資として物件のオーナーになり収益を得る外国人も数多くいる。我々が案内した人たちもそうした投資としてホテル物件を探している投資家である。

こうした一軒家のホテルの中でも宿泊率の良いものは短期間に大きなキャピタルゲインを得られるチャンスもある。今回視察した物件のひとつは中国人がオーナーで2018年6月に2,300万円で買った京都の一軒家に700万円かけて内装を施し12月に開業、2ヶ月間の宿泊率は85%程度を記録し、現在4,500万円で売りに出しているとのこと。”さすがに大きく出すぎだろう”と思いきやすでに複数件の買収の問い合わせがあると言う。

スキーリゾート志賀高原の風景は昔も今もたいして変わらない。しかし僕が前回ここに来てから今回来るまでの間にやっとひと握りのエリートが日本に来て本国の月収の半分のバイト料を真っ黒になりながらせっせと稼いでいた中国人は今やレジャーでそこに押し寄せるようになり、日本や海外でのどんどん投資をおこなうようになった。

30年後の世界など想像もつかないな、、と感慨にふけりながらほぼ10年ぶりの滑りを楽しんだ。

 


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