最近世界の様々な地域に住む人の間でにわかにアメリカの生命保険に対するニーズが高まっている。

ここ3年間世界を席巻したコロナパンデミックは多くの災厄を人類にもたらしたが、経済テコ入れのための金融緩和でバラまかれた多額のマネーは生活に困っていない中流以上の世帯にも行き渡った。人が日々生きてゆくためのコストは平均的な家庭も富裕層もたいして変わらないので、中流以上の世帯で余裕資金が増大した。

米国生命保険の需要の高まり

市中に溢れた資金はインフレを引き起こしたため、各国の金融当局は利上げをもってそれを抑える方向に舵を切っており、利回りの高まっている保険商品に余裕資金が流れているのだ。

一方でコロナパンデミックに続いて、ロシアとウクライナ侵略戦争も発生するなど、少し前まで元気だった人が命を落とすような場面を目の当たりにすることも多くなり、生命の儚さを感じる人が増えたという状況も無縁ではあるまい。

生命保険の仕組み

この機会に生命保険という商品について、そしてその中でも特に米国の保険というものがどのような特徴を持ち、なぜ注目されているかに付いて数回に分け解説してみたいと思う。まず第一に生命保険という商品は多くの場合、自分自身の利益のためではなく配偶者や子供などの家族のために利用する商品であるというのが大前提としてあるだろう。

例えば、1人または複数人の子供を持ち、一家の稼ぎ手である既婚男性がもし急に亡くなってしまうようなことがあれば、残された家族は大変な苦労をするに違いない。その深刻なリスクをヘッジするために生命保険に加入して一家の大黒柱にもしものことがあった場合に払い込んだ保険料の数倍の死亡保障(保険金)が家族に支払われ、その後の生活を糧を確保する形を整えておくのである。

保険会社は保険を必要とする数多くの契約者から集めた莫大な保険料を金融市場で運用して資産を増大させる。保険をかけられている被保険者の中で毎年一部亡くなる人がいて、その保険金支払いを履行する必要は生じるがそれは契約数全体からごく小さなパーセンテージであり、約束通り保険料の数倍の保険金を支払うのは難しいことではない。

さらに保険会社は保険会社同士でまた保険を掛け合って更に支払いの安全性を確保している。これにより万一大地震などの大災害で予期せず多くの人命が失われるようなケースでも莫大な保険金を支払うことができるのだ。そのシステムを基盤にして生命保険は顧客のニーズにしたがってバリエーションを増やしてきた。

生命保険の発展

例えば子供が小さいときに死亡保障を確保しながら、無事に成人したときには解約返戻金を自分の老後資金として用立てたいという需要は少なくない。保険金として保障する金額をある程度下げることにより、解約返戻金として払い出す金額を増やすことができるのでそういうプラン設計を採用することによってその希望を満たすことができる。

さらに子供の出産や就学、または自宅の購入などライフステージによって家計の収入と支出のバランスは変わり、保険料に充てることのできる余裕資金も都度変わってくる。支払う保険料を柔軟に変更できるような商品があれば保険をより利用しやすい。こうして様々な構造を持つ保険が生まれ、利用者の多種多様なニーズに対応してきた。

そうした多様な保険の開発の最先端にいるのがまさに米国の生命保険であると言っても過言ではないのだ。米国生命保険について深堀りしてゆくにあたり、まずは保険についてよく訊かれる4つの質問とその回答を以下に提示したい。

Q1:利用可能な生命保険にはどのような種類があるか?

A1:基本的に定期保険、終身保険、ユニバーサル保険、変動型ユニバーサル保険、インデックスユニバーサル保険の5種類に分類される。

Q2:国内の保険と米国の保険のどちらを選ぶのが有利か?

A2:保険料が年間6,000米ドル以上の規模の契約の場合は充分に検討するのが推奨される。

Q3:どのタイプの生命保険を契約するのが適当か?

A3:家族構成や自分の家族と年齢、達成したい経済的目標、そして何より支払い可能な保険料を考慮して最適解を導くと良い。

Q4:どのくらいの規模の保険に加入するのが良いか?

A4:A3の回答とほぼ同じになるが、カバーすべきリスクや責任と経済的ゴール、拠出可能な金額によって算出するのが得策である。

次回よりこれらの疑問についてさらに詳しく解説し、各タイプの生命保険の特徴を深堀りしたうえで、どのニーズに対してどの商品が適しているかということをの述べてゆきたいと思う。

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