「ソルベンシー・マージン比率」

生命保険会社の経営状態・健全性を判断するための指標のひとつで、通常の予測を超えて発生する保険金の支払いリスクに対する耐久度を測るものである。

生命保険会社は統計から人が死亡する確率を計算して保険金(死亡保障)に対して、どれぐらいの保険料を徴収すれば充分な支払いと会社の経営ができるかを計算している。しかし例えば東日本大震災のように予想外に一度に大勢の人が亡くなるようなことがあると、もちろんこの計算では合わなくなる。

ソルベンシー・マージン比率とは?

”莫大な保険金を支払わなければならない保険会社は破綻しないのだろうか、、”と誰もが思うのではないだろうか?

もちろん契約者からすれば保険会社が破綻するようなことは悪夢以外のなにものでもない。そのため、想定以上の支払いがどのくらい可能かというのがわかる数値があれば、保険会社選びに大いに参考になる。それがソルベンシー・マージン比率である。

元々、生命保険会社は保険金の支払いのために保険料収入の他に、責任準備金を積み立てていている。しかし万一想定外の支払いでこの保険料と準備金を使い果たしてしまうようなことがあれば、保険会社は自己資本を取り崩して保険金の支払いに充てることになる。なので、このソルベンシー・マージン比率という有価証券の含み益を含む会社本体の自己資本(ソルベンシー・マージン総額)が想定外のリスクを計算した金額に対して何%あるのかという数値を算出して健全性の基準とするのだ。計算式は次のようになる。

ソルベンシー・マージン比率(%)=ソルベンシー・マージン総額÷(通常の予測を超えるリスクに対応する額÷2)×100

どの国にも保険局があり、彼らの主な任務はすべての生命保険会社のソルベンシー比率が完全に遵守されるように監督すること。そしてそれら当局は国内の生命保険会社に対して、負債を上回る最小限の超過資産を維持することを要求している西側諸国の保健局では概ね100%のソルベンシー・マージン比率を求めている。

ソルベンシー・マージン比率ではわからないこと

一方でソルベンシー・マージン比率は保険会社の安全性を判断するものであるがあくまでも基準のひとつとして捉える方が良い。新規に参入した保険会社は得てして保有契約数が少ないので保有資産に対するリスクが少なくなりソルベンシー・マージン比率が高くなりがちだ。

これは逆もまた真なりでソルベンシーマージン比率の低い会社は歴史が長く、規模が大きく、契約数が多いということでもある。ソルベンシー・マージン比率が高くても破綻する新興の保険会社がある一方で、それが低いというということがこれまで長期に安定した経営を行ない、歴史を築いてきたとも言えるのだ。保険会社を選択するときはこのソルベンシー・マージン比率とともに格付けなど他の判断基準とともに総合的判断をすべきであるということを申し添えたい。

生命保険を選択するための要素

生命保険会社を選択するために必要なその他の要素としては以下のものが挙げられる。

1.保険料の手頃な価格:

保険料と得られる保障は保険会社によって異なる。生命保険の支払い期間は一括、2年、5年、10年、15年、20年というケースが大半で、同じ保険金規模の契約で支払い期間が長くなればそれだけ都度支払う保険料の金額は低くなる。一括払い以外の期間を選択した場合、翌年または次の年に支払う余裕があるかどうかを検討する必要もある。

保険料支払い期間を通じて仕事を継続できる見込みはあるのか?もし突然重大な病気にかかるなどで収入が途絶えてしまったとしても蓄えから支払う余裕があるのか? そうしたことを考え含めて各社から同条件で見積もりを入手したうえで比較する。

2.健康状態:

保険に加入できる健康状態であるかどうかというのは大切なポイントだ。もし病気や疾患がある場合、保険に加入できない可能性があったり、できたとしても追加の保険料を支払う必要が生じることがある。そのため保険会社は加入に際し、一定条件で被保険者の健康診断を求めている。

しかし死亡保障額や被保険者の年齢によって健康診断が免除される条件があり、この基準が保険会社によって微妙に異なる。もし健康状態に少しでも不安がある場合はこうしたことも精査する意義がある。

3.性別、喫煙習慣、年齢:

女性は男性に比べて保険料が低く、非喫煙者は保険料が安く抑えられる。 保険料の男女差、非喫煙者は喫煙者に対してどのくらい安いのかという割合も保険会社によって微妙に違いがあるので抑えておきたいポイントだ。

4.どの保険プランが自分に適しているか:

これは以前にも述べたように、達成したい財務目標やライフプランに大きく依存する。ところがそれらをはっきりイメージすることは素人にはなかなか難しいところがある。そして各社で用意しているプランはそれぞれに特色や違いがある。この点だけでなくすべてに言えることではあるが、本当に自分にふさわしいプランを選択するには常にファイナンシャルプランニングに触れているプロのアドバイザーとの問答の中で明確にしてゆくのが最も早く効果的な方法である。

加えてファイナンシャルアドバイザーは最新の加入キャンペーンなど加入者に有利な情報も持っているので、国際的な保険会社からより良いサービスを探す場合、経験豊富なアドバイザーを選択することが何より重要だと言える。

日本の保険とオフショア保険の比較

最後に根本的な問題として「オフショアの保険商品を探すのに時間を費やす価値はあるか?」という疑問に対してひとつ明確な回答を提示したい。

以下は日本の生命保険とオフショア生命保険会社の商品の保険料比較表だ。
 

全く同じUSD1,000,000の死亡保障を得るのに支払う保険料は日本の保険会社でUSD3,765.45/年、一方でオフショアの保険会社はUSD2,100/年と日本の半分強のコスト。

違いは歴然なのである。
 

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