
その起源は1969年に米国国防省が開発したARPANET。それまで世界の通信の主流は電話網だったが、中央集権的なシステムのため中心局が破壊されれば全体の通信が一気に止まってしまうという脆弱性があった。
これは東西冷戦真っ只中の時代、軍事上の致命的な問題であり、複数の拠点が網の目状につながり、一部が壊れても別経路で通信できる仕組みの必要性から生まれた技術だった。ARPANETは複数の通信拠点を網の目状に繋ぎ、ルートの一部が破壊されても、別のルートを迂回することにより通信が途切れないという点で当初の目的を果たした。
インターネットの形成
1970年代には大学や研究機関もARPANETに参加することになり、データを小さく分割して送り、目的地で再構築するパケット通信技術が開発され、参加者間でEメールの利用が広がった。ARPANETが現在の通信の世界共通ルールである「TCP/IPプロトコル」を採用したのは1983年、これ以後この通信ネットワークは世界中に広がっていった。それがインターネットだ。
1991年にWorld Wide Web(WWW)が開発され、インターネット上にWebページを作り、閲覧用のソフトウェアであるブラウザを通じて誰でもそれが見れるようになった。その後数年でMosaicやNetscape Navigatorなどのブラウザが登場し、徐々に普及したがその頃インターネットにアクセスしていたのは一般人でも割とその分野の知識を持った限られた人たちだった。
インターネットの爆発的普及
1995年のWindows95の発売で簡単な設定でインターネットにつなぐことが可能になり、そこでEメールによる通信とマイクロソフトのブラウザであるInternet ExplorerによるWebページの閲覧が爆発的に普及。約30年前のことだ。物心ついていた人はこの時点でインターネットを使い始めた、自分のメールアドレスを持った、というのが大多数ではないだろうか。ネット通販やネット広告など、インターネット上での経済活動が本格化するのはそれより数年後のことになるが、時代の到来を見越してAmazonやYahoo!、ebayなどが1994年〜1995年に創業されている。
1998年にはGoogleが運営開始。2000年前後にADSL・光回線が普及して、それまでインターネットを使う度にダイヤルアップで接続していたのが常時接続時代になり、wifiルーターも出てきて無線接続が可能になった。次に世界を席巻したサービスはインターネット上で人と人がつながり、情報を発信・共有・交流できるSNS。SNSは1990年代後半頃に出現したが、それを世界に広げたFacebook(現Meta)は2004年に、Twitter(現X)は2006年に運営開始。
2007年のiPhoneのデビューにより、いつでもどこからでもネットにアクセスできるようになり、2010年代には
・Instagram
・TikTok
・LINE
・WeChat
など、スマホ中心のSNSが隆盛。
クラウドコンピューティングとAI
一方ではやはり2010年代にインターネットを通じて必要な分だけサーバーやストレージを借りるクラウドコンピューティングが普及。Amazon(AWS-Amazon Web Services)、Microsoft(Azure)、Google(Google Cloud)などIT業界の大資本が世界各地に巨大データセンターを持ち、世界中のユーザーがそれをレンタルすることにより、膨大なデータがそこに集積することになった。これがビッグデータと呼ばれるものだ。同時に人間の脳を模した「ニューラルネットワーク」を多層化した学習技術であるディープラーニングが開発され、ビッグデータを学習して機械学習、自動運転、音声アシスタントなどが一般的に使われるようになった。AlexaやSiriなど音声アシスタントの回答やアクションのの品質が次第に上がってゆくのを肌で感じた2010年代だったはずだ。
今日の天気を訊けば教えてくれたり、音楽をかけてくれたり、電灯を点けたり消したりと言葉による指示に従ってタスクをこなしてくれるようになった。ここらがAI(人工知能)大衆化の出発点で間違いないだろう。
2022年、生成AIであるChatGPTが公開。生成AIは学習データをもとに、新しいコンテンツを生成するAIのことで、人間のような文章を理解・生成したり(大規模言語モデル-LLM)、新たな画像や音楽を作ったり、HPやアプリを制作するためのコーディングをしてくれたりと、人間の要求に基づいて何らかの成果物を作ってくれるようになった。今おそらく大多数の人はこの生成AIを使っている段階にいるはずだ。そしてもう一歩進んだ人がAIエージェントを利用をはじめているというところではないだろうか?
AIの進化
AIエージェントは達成すべき目的を与えると、その意味や要求を自ら考え、計画を立てて行動し、結果を確認しながらゴール達成まで動いてくれるAI。例えば自分で仕事の出張手配をする場合、日程を決めて、交通手段を決定し、コストと移動時間や手間を比較して便やホテルを決めて、旅行会社や予約サイトでも申し込み、予約確認メールをチェックする、という作業のプロセスが必要になる。
これを「来週の香港出張を最安かつ効率的に手配してください」という目的指示だけで達成してくれるのがAIエージェントだ。この次の段階にはAGIの時代が来ると言われている。未実現のため、現段階では概念でしかないが、AGIになるとAIが自分で問題を発見して試行錯誤しながら計画を立て実行、検証をして改善を施し、次の計画を立てて、また実行・・
つまりAIがPDCAサイクルを回して自発的に様々な仕事をこなしてゆくらしい。生成AIが指示に従って仕事をするスタッフの代わりとなるならば、AIエージェントは目標や売上計画を引き受けて自分の裁量でそれを達成するマネージャークラス、AGIは自分でヴィジョンを描き、それを目指して計画して実行し、トライアンドエラーを繰り返しながら実現に向けて突き進んでゆく経営者ということになるだろうか。
