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早いもので今年も12月、あと1ヶ月足らずで2026年、令和も8年目だ。今年は十二支では巳年(みどし、へびどし)、来年は午年(うまどし)である。最近は年賀状もほとんどデータでやり取りするようになったが、それでもこの十二支をデザインに使うことが多く今年の十二支が何であるかは日本人であればだいたいわかるはず。

一方でこの十二支に五行に基づく十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)を組み合わせた干支というものがある。例えば十干の最初にある甲(きのえ)と十二支の最初の子(ね)が合わさって甲子(きのえね)となる。これはどこかで目にしたことがあるぐらいで、今年が巳年の中でも乙巳(きのとみ)の年であると答えられる人はあまり多くはないだろう。

干支(かんし、えと)

十干と十二支は互いに1つ目から順番に合体するようになっているので最初が甲子、次が乙丑、、と続いてゆく。干が10個で支が12個、その最小公倍数である60年で干支は一周してまた最初の甲子に戻る。これが還暦だ。壬申の乱、戊辰戦争、辛亥革命など干支のついた歴史的出来事も少なくない、西暦が定着する前の人々にとっては干支はもっと身近なものだったのだろう。そして来年2026年の午年は干支で言うと丙午(ひのえうま)という年になる。

丙午(ひのえうま)の迷信と1966年の出生数激減

「丙午生まれの女性は夫の命を縮めるほど気が強い」という迷信がある。

これは八百屋お七という恋人に会いたいがために江戸の街に放火をして死刑となり、その後歌舞伎や浄瑠璃の題材になった少女が丙午生まれだったというのが元になっていらしい。それなら北条政子や日野富子が生まれた年の干支の方がもっとその迷信に相応しいのではと個人的には思うが、いずれにせよこうなってしまっており、丙午生まれの女性が結婚相手として選ばれにくいということも過去にはあったという。

迷信とは言え、生まれた年が原因で我が子が実際に結婚に苦労する可能性があると思えば、なるべくその年に子供を産むのは控えようとするのが親心だ。かくして前回の丙午の年である1966年(昭和41年)の出生数は減少した。どのぐらい減ったかというと、1965年(昭和40年)の出生数が約182万人に対して、1966年は約136万人になった。前年からの減少数は約46万人、25%も減ったということになる。翌年の1967年(昭和42年)の出生数は約194万人とリバウンド付きで回復。

”来年の丙午も迷信が原因の出生数減に見舞われるのだろうか、それとも今の若い夫婦はそんなことは気にしないだろうか、、?”

そんなことを考えたが、そもそもすでにそんなレベルの問題ではないことに気づく。

1996年丙午の半分の今

昨年2024年の出生数は68万人。奇しくも激減したと言われる1966年丙午の出生数のちょうど半分。改めて強烈な少子化の現実にぶち当たる。

日本の出生数は9年連続して減少し続けて毎年過去最低を更新している状態でここ数年は加速度をつけて減っている。出生数については残念ながらどうやったら増やせるかを思い巡らすより前にまずその下落トレンドを止めることが喫緊の課題だ。日本人の寿命は世界のトップクラスに長く、今もまだ伸び続けているが、それでも亡くなる人は生まれる人よりずっと多く、毎年100万人以上の人口が減り続けている。最近熊の出没が増えたというのも「餌が不作だった」とか「学習して人を恐れなくなった」とかいろいろあるのだろうが、地方の過疎化が進んでかつての町や村が従来の熊の領域である山や野原に変わってきているのが根本的な原因ではないだろうかとさえ思う。

空いた好条件の土地への自然な流入

もちろん熊とは一緒にできないが、従来の住人がいなくなって空いたところに別の人々がやってくるのも自然なことのように思える。だから最近海外から日本への移民は増えていたのもある意味自然の摂理なのかもしれない。これだけ少子高齢化が進めば建設現場や農業分野などで労働力不足が発生したり、介護の需要が増えたりするからそこを埋める人たちを海外から連れて来る必要がある。これは主に研修生制度などが担っている部分だ。

一方で他の国がおこなっているような投資移民も日本は導入した。これは主に日本で会社を立ち上げて事業を行う外国人に対し、「経営管理ビザ」を発給して、ある程度の財力を持った人を呼び込むと同時に日本への直接的な投資効果を狙うというのが目的だ。ところがこれまでの経営管理ビザの要件は結構甘く、たった500万円の資本金でその発給を受けることができた。これは他の国と比較してもかなり低いハードルである。それが「大阪でマンションを数部屋購入して民泊経営することで日本のビザを取ろう!」みたいな日本側と趣旨を違えたムーブメントを生んだりした。

現在は経営管理ビザの要求資本金も3,000万円に引き上げられるなど改善が進んでいる。高市政権ではこうした外国人が日本に居住できるビザや、帰化や永住権の取得に対する要件を厳格化することが予測されている。良いことだ。

経営管理ビザには更新要件があるので、これまで簡単に取得できた居住権もしっかり新しい基準にかなう事業経営をしなければ取り消しを含めて淘汰されるはずだ。移民受け入れでは日本は世界で後発だったが故にいろいろと甘かったと思う。日本の出生数が増える見込が立たない以上、今後も否応なく向き合ってゆかなければならない移民問題。失敗は糧にして、トライアンドエラーで政策を研ぎ澄ましてゆけば良い。日本に移住してくる人には、きちんと日本を生活の拠点にして日本の伝統を尊重し、日本語を話し、日本に納税し、日本の国益に適う活動をしてもらう。それを最低基準としてほしい。

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