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2023年2月28日、厚生労働省は人口動態統計の速報値を公表。

2022年度の出生数は79万9728人。統計を取り始めた1899年以降の最少を更新し、初めての80万人割れとなった。一方で死亡数は158万2033人。出生数から死亡数を引いた人口の自然減は78万2305人となった。これは新潟市の人口に相当する数であり、日本の人口減少はとうとう一年で政令指定都市がひとつ消滅する規模になった。

2022年度の人口動態統計

メール講座【国境なき投資戦略】を執筆したのは今から12年前の2011年。その頃、日本将来の人口についての見解を以下のように述べたことがある。

(引用ここから)

出生数は今後も減少を続け2050年には67万人にまで落ち込む見込みだ。一方死亡者数は増加を続け、2038年には170万人にまで達する。その後緩やかに減少に転じ、2050年度は162万人になると予測されている。2050年単年度の人口減少はなんと95万人。仙台市や千葉市レベルの政令指定都市が1年でそっくり消滅するほどの急激な人口減に見舞われる。その時点での日本の総人口はピーク時の約75%である9,000万人ほどになっているらしい。

(引用ここまで)

これは当時、発表されていた政府のシミュレーションを基に記述したものだ。ちなみに2011年の出生数は約105万人、死亡者数は約125万人、人口の自然減は約20万人だった。

少子高齢化と人口減少の加速

いずれにしても個人的にも少子高齢化は関心事なので毎年この統計は意識してきた。ここ3年間のコロナパンデミックの影響でそれ以前の予測よりもより出生数が減り、死亡数が増えるのはある程度理解できる。

しかしそれにしても2022年の段階で、2050年の出生数シミュレーション上の数字まであと12万人、単年度の人口自然減シミュレーションの数値まであと17万人に迫っている現実。本来の予測の年まであと28年も残っているのにこの肉薄度合いを見ると、その予測程度で済むとは到底思えないと感じるのは僕だけではないだろう。

1人の女性が生涯に産む子供の数である合計特殊出生率で見ると2022年日本は1.27に落ち込むと見込まれている。現在の人口を維持するためには合計特殊出生率が2.07以上である必要があり、この低さを鑑みれば毎年の人口減少は当然の帰結と言える。

近隣諸国の人口問題

余談になるが最近は世界的にも人口に関する大きなニュースがいくつかあった。そのひとつはどうやら2023年はインドが中国の人口を抜くらしいということ。中国は長年の一人っ子政策、それに続く養育費の高騰がたたって少子化が進み2022年に人口減少状態に転じたと言われる。その中国でさえ合計特殊出生率はまだ1.7ぐらいはあるので日本は深刻だ。

ちなみに韓国は世界最下位の0.78、合計特殊出生率が1以下の唯一の国で現在約5,200万人の人口は2100年には半分の約2,600万人になると試算されているという。100年後には我々と似た顔をした若者は珍しい存在になっているのだろうか?

拡大する年金制度の危機

話を元に戻すとおそらく2023年はコロナ禍中の産み控えの反動で一旦出生数は増えるだろう。これはこれで来年の今頃発表される数字に注視したい。しかし本来の予測からコロナ3年間で失われた出生数をきちんと取り戻せるのかというと難しいところだろう。

日本の少子高齢化が予測を大きく超えた速さで進んでいるのは間違いない。それは賦課方式の年金制度が立ち行かなくなることに他ならず、日本政府は加速度を上げて、

・年金保険料の引き上げによる収入の増大
・年金支給額の引き下げによる支出の縮小
・年金支給開始年齢の後ろ倒しによる支給期間の短縮

を図りながら年金制度を維持してゆかなければならない。数年前に金融庁で「老後のために自己資金で2,000万円必要」との報告書が出され、炎上したために撤回されたが、根本的な問題は残ったままであるようだ。現在の年齢から65歳までに2,000万円の資金を作るシミュレーションをご希望の方は以下よりご連絡いただきたい。

https://ws.formzu.net/fgen/S19274410/

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