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2024年の出生数と死亡数の統計が出た。出生数は約68万6061人で初めて70万人を下回った。

1人の女性が生涯で出産する子どもの数を示す合計特殊出生率は1.15で過去最低を更新。ちなみに人口維持に必要な合計特殊出生率は2.07である。死亡者数は160万5298人でこちらも過去最多。死亡者数から出生数を差し引いた人口の減少幅は91万9237人で過去最大となった。

2025年人口減少のリアル

個人的に日本の人口減少は関心事であり、毎年この統計が出る毎にどれぐらいの規模の自治体が消滅するぐらいの減少かという例えを用いている。今年は福岡県北九州市(約94万人)が近い。政令指定都市が毎年一つずつ消滅する時代が今の日本のリアルである。

出生率改善による人口減少阻止

この人口減少を止めるにはどうすれば良いだろうか?

ひとつは人口維持に必要な合計特殊出生率2.07を回復することだろう。2.07を回復して毎年それ以上の水準をキープできれば、すぐにとはゆかなくてもいずれ減少は止まり、いずれは人口増加傾向に切り替えることができるはずだ。

どうすればそれを達成できるのか、ざっくり計算してみる。

686,061人(2024年の出生数)÷1.15(2024年合計特殊出生率)X2.07=1,234,909人

出生数が123万5,000人。

現在の約1.8倍にする必要がある。

日本で出生数が123万人を超えていたのは1994年が最後だとのこと。正直現実的ではない。

移民による人口増加策

外国人の受け入れによる人口増加策はどうだろうか?一定期間以上日本に定住する在日外国人には技能実習生・留学生・就労ビザ保持者・永住者・特別永住者などがある。長きに渡って単一民族の島国として歴史を重ねてきた日本にとって、移民は様々な議論の的になりやすい事項だ。メリットは新たに日本に定住する外国人はほとんどが大人なので、労働現場の即戦力となって経済活動に貢献できることだろう。デメリットは文化や習慣の違いを原因とする軋轢が生まれやすいというところだろうか。

過去10年間の在日外国人の人口推移は以下の通りである。

2015年 約2,172,000
2016年 約2,382,000
2017年 約2,561,000
2018年 約2,731,000
2019年 約2,933,000
2020年 約2,887,000
2021年 約2,760,000
2022年 約3,075,000
2023年 約3,589,000
2024年 約3,769,000

2019年〜2021年はコロナ禍のため一時的に在日外国人の数は減少したが、だいたい年間20万人〜30万人増えているというところ。年間の日本人の人口減少数90万人を到底カバーすることはできず減少数の20〜30%を補える程度である。

日本の移民受け入れの現状

現在、在日外国人の日本の人口に占める割合は約3%。これはOECD諸国で最も低いという。

世界の主要国における外国生れの人口割合は以下の通りだ。

ルクセンブルク:51%
スイス:31%
オーストラリア:30%
カナダ:22%
スウェーデン:20%
ドイツ:18%
スペイン:15%
アメリカ合衆国:15%
イギリス:14%
フランス:13%
日本:約3%

国民一人当たりのGDPが世界一のルクセンブルクは半分以上が移民。移民数最多のアメリカは5,000万人以上が外国生まれである。移民に苦しんでEU脱退をしたイメージのあるイギリス、移民や2世による暴動の報道の印象も強いフランスは比較的少ない方であるというのは意外だ。しかしそれらと比べても日本の移民の人口割合は極めて低い。

日本は移住先として魅力的なのか?

各国が多くの移民を受け入れている背景には高度人材(高技能人材)をめぐる世界的な獲得競争が激化がある。以前は先進国へやってくる移民と言えば、本国人が忌避する仕事や低賃金の労働の担い手が多かった。しかし現在は少子高齢化、経済のデジタル化に直面する先進国にとって、将来の持続可能な成長やイノベーションの鍵を高度人材が握っているため、どの国もそうした人材を求めていわば取り合いのような状態になっている。

実は日本も外国人の高度人材に対して最短1年で永住権を付与するビザの発給をおこなっている。日本は決して移民に対して消極的なのではなく、高度人材の奪い合いに参加しているのだ。にも関わらず、総人口に対する移民割合の低さは他国に比べて移民受け入れへの着手が遅かったというのもあるが、実は多くの外国人にとって日本は生活基盤を築くのにハードルの高い国である、というのが大きな原因なのである。日本語という習得の難しい言語を使っている一方で英語など世界で広く使われている言葉が通じにくい環境、島国という閉鎖された空間で培われた独特の習慣と暗黙のルール、キャリア形成の不透明さや外国人向け教育環境の不足などに起因する。基本的に日本は移民先としてそれほど人気のある場所ではないというのは頭に入れておいても良いかもしれない。

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