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前回は2019年9月。香港で民主化デモが頻発していた時期のこと、ちょうどその頃ラグビーのワールドカップが日本で開催されていた。

コロナパンデミックの発生、東京オリンピックの延期と無観客開催、ロシアのウクライナ侵攻、安倍元首相の暗殺等々いろいろな出来事を経て、今度は2022FIFAワールドカップが行われている最中、久しぶりのHSBC香港口座開設サポートが完了した。

日本人のHSBC香港口座開設史

いつ頃から日本人旅行者が香港を訪れてHSBC香港(香港上海銀行)に口座を開設するようになったかははっきりわからないが、1990年代後半の金融ビッグバン以降であることはほぼ間違いがない。それまでは原則日本居住者が海外口座を持つことは認められておらず、日本人では海外在住者が滞在先の国で銀行口座を持つぐらいだったからだ。2002年に出版された橘玲氏の小説「マネーロンダリグ」では主人公が日本から来た夫婦のHSBC香港口座の開設をサポートするという描写があるのでその頃にはある程度増えていたのではないかと思われる。インターネットバンキングが一般化して、必ずしも窓口に行かなくても銀行のサービスを利用できるようになったのは海外口座の普及に大きな影響があっただろう。

我々が本格的にサポートを始めた2010年頃はパスポートと日本の運転免許証を持ってゆけば比較的簡単に口座を作ることができた。当時は1ドル100円以上の円高状態であり、高騰した日本円で海外の不動産を買ったり、金融商品で運用したりということが一種ブームのようになっていた。日本でも海外資産運用セミナーなどが数多く開催され、参加メンバーが団体で香港を訪れることも多く、一日に数十人が一斉に口座開設することもあった。

「現地の支店を訪問して、必要書類に不備がなければ簡単に口座開設ができる」という感覚があったのは2013年頃までだった。それ以後は提出する住所証明の規定が強化されたり、英会話力のチェックが厳しくなったり、サポートスタッフが同席できなくなったり、一日に口座開設ができる人数の上限ができ予約が必要になるなど徐々に制限が設けられていった。渡航制限がかかる前の2019年はまさにそんな状態であった。

2022年12月時点HSBC香港の口座グレード

この3年の間にアドバンス口座とスマートバンテージ口座が統合されて、最低預金額・口座維持手数料も廃止されたワン口座(One Account)となった。現在HSBC香港口座のグレードは以下の通りである。

ワン口座(One Account):最低預金額なし
プレミア口座(Premier Account):最低預金額HKD1,000,000(最低預金額に満たなかった場合の口座維持手数料:HKD380/月)
ジェイド口座(Jade Account):最低預金額HKD7,800,000

2022年12月時点HSBC香港口座開設の状況

そしてようやく香港入境後の隔離措置が撤廃され、新型コロナ流行後はじめての口座開設サポート依頼があった。実に3年と2ヶ月ぶりのことになる。まず事前調査した結果、HSBC香港のウェブサイトから口座開設希望者本人が申し込みフォームを通じて予約をすることが必要になっていた。これは支店担当者に直接予約することのできた2019年当時と異なっている。予約後数日して今度はHSBC香港から折り返し電話が希望者本人にかかってくる。内容は本人確認と予約日時、開設支店、開設理由の確認だ。もちろん英語か中国語で回答しなければならない。

今回の場合希望者は言葉に問題がなかったので途中までスムーズに会話が進んだものの、最後の開設理由でつまずいた。HSBC香港の口座が必要な充分な理由が必要とのことだった。例としては、香港に留学しているため日常生活で銀行口座が必要、あるいは香港勤務で給与の送金先口座として使いたい等であれば充分であるというが日本居住者にはそぐわない。

今回は理由を「香港での投資目的」としたが、それでは理由として弱いとされ、予約は受け付けるが口座開設を許可できるかどうかはわからないとの回答だった。そして来港、一緒に支店に赴いた。予測はしていたがサポートの同席は許されず、希望者は一人でブースに入り口座開設手続きに臨んだ。結果として口座開設は成功した。

やはり現場でもたくさんの質問があったようだが、せっかく香港まで来たことやどうしても口座を持ちたいことを情熱的に訴えたようだ。もちろん堪能な語学力がベースにあってのことではある。ハードルは相当高くなっているが口座開設は可能だ。翻って、すでに持っている口座はそれだけ貴重なものであるとも言える。しっかりメインテナンスして、充分に活用されることを願ってやまない。

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