毎月少額の資金を積立て、その資金をポートフォリオ上のファンド(投資信託)を購入してゆく長期積立ファンド。主な特長としては、

・マーケットの状況にかかわらず定期的に資金を投じてゆくのでファンドの購入基準価格が平均化され、下落リスクを抑えることができる(ドルコスト平均法)

・株式、債券、マネーマーケット等様々種類のファンドに投資が可能(投資商品の分散)

・北米、アジア、欧州、南米、アフリカ、中東等世界の様々な地域に投資が可能(投資地域の分散)

・米ドル、英ポンド、欧ユーロ等様々な通貨建てでの運用が可能(通貨の分散)

・ポートフォリオを構成するファンドは随時スイッチング可能でその時々のトレンドに合致した投資対象を選択できる

・万一契約者が運用途中に死亡した場合、運用資産は予め指定しておいた受取人に払い出される

特に公的年金の整備されていない海外諸国では老後資金を作るための個人年金商品としてメジャーな存在である。

ここ数年、長期積立ファンドが変化している。

従来は香港を訪れて多くの書類に署名のうえ申し込みをするのが主流であったが、ITテクノロジーの発達もあってオンラインで申請が完了する商品も出ている。積立金の金額の増減額や個人情報の変更、スイッチングによるポートフォリオの組み替えなどももちろんネット上で可能だ。銀行口座からの自動引落しがメジャーだった積立金の支払いもクレジットカードからの引き落としが主流になってきている。つまり積立運用をするのに海外の銀行口座は必ずしも必要ないということになる。

以前はクレジットカードからの引き落としを選択すると積立金の1%程度の手数料がかかっていたが最近ではそれもなくなっているうえにVISAやMaster以外にもJCBやアメックス(American Express)、ダイナース(Diners)が使えるものもある。アメックスやダイナースには非常に効率よくマイレージやポイントを貯められるものが多いのでその点でもメリットは大きい。

契約期間を通じてきちんと最後まで積立投資を満了した契約者に対するボーナスも手厚くなってきている。民間企業の運営する個人年金プランである長期積立ファンドは公的年金と違い自分の意思で解約が可能なので途中解約する人も少なからずいる。契約当初とは経済的な環境が変わり積立金を拠出してゆくのが難しくなった、あるいは運用のパフォーマンスが落ち込んだときにこのまま続けてゆくことに不安を感じた、など解約の理由は様々である。

個々人の事情は千差万別だが全体的な統計を取ると運用開始から何年でどのくらいのパーセンテージの人が途中解約するということはある程度はっきりしている。中途で解約すると解約手数料がかかるがそうしたペナルティとして運用会社で控除されプールされた資金が解約せずに最後まで運用を続けた人に支給されるボーナスの原資になっている。

そもそも途中で資金的な困難に直面したら積立額を減額したり一時休止したり、もしくは運用資産からの引き出しも手数料なしでできる。実際はペナルティのかかる解約までは考えなくても良いケースがほとんどだ。また運用を続けながらプランから一定割合でローンを利用できるということもあるので仮に急な資金需要の増加に見舞われた場合はそうしたローンを利用することもあわせて検討すれば資産を毀損せずに運用を続けてゆくことも可能だ。

様々な面で進化している一方で突然プランの募集が中止になったり、特定の国の居住者の受け入れをやめたりということが目立っているのもここ最近のもうひとつの傾向でもある。これはある意味仕方のないこと。こうした金融商品も消費財などの他の商品と同じように生産中止や受け入れ終了になることもある。以前は利用できたのに今は手の届かないものになったということはよくあること。必要なものはそれがが可能なうちに入手しなければならないのは世の常である。

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