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2022年6月1日から日本への一日あたりの入国者数の上限が20,000人へと緩和された。日本国政府は2022年6月1日から一日当たりの入国者数の上限を2万人に引き上げた3月1日に5000人、14日に7000人、そして4月10日には1万人と段階的に引き上げてきて、今回は2万人へと倍増されたことになる。

渡航元の相手国は感染リスクによって3種類に分けられ、最もリスクの低い「青」のランクの国から入国する人はワクチン接種の有無に関わらず日本入国時の検査やその後隔離措置が免除される。ちなみにG7構成国や中国、香港、台湾、韓国等かねてから日本への入国者の多い国はほぼすべて「青」ランクに入っている。そして6月10日からは添乗員付きのパッケージツアーに限る形ではあるが、観光客の受け入れも始まることになる。

海外から日本への観光客数は2003年に訪日外国人旅行者の増加を目的とした訪日プロモーション事業であるビジット・ジャパン事業(VJ)が開始されてから順調にその数を伸ばし続け、2019年には過去最高の3,188万人に達した。インバウンド需要、中国人旅行者による爆買い、と言った言葉が飛び交っていた当時、東京オリンピック開催が予定されていた翌年は4,000万人の大台を突破するという見込みさえ立てられていた。結局2020年の海外からの訪問者数412,000人、延期されたオリンピックが無観客で開催された2021年にはわずか25,000人にとどまったのは当時誰もが想像だにしなかった悲劇的な結果なのは間違いない。

一方で、世界経済フォーラムが5月に発表した「観光魅力度ランキング」で日本が初の1位となった。「観光魅力度ランキング」は世界経済フォーラムが2年に1度発表しているランキングで、旅行や観光に関する112の項目を総合的に評価したもので、日本の交通インフラや文化資源などが高く評価されたと言える。

ちなみに2位以下のランキングは以下の通り。

2位:アメリカ
3位:スペイン
4位:フランス
5位:ドイツ
6位:スイス
7位:オーストラリア
8位:イギリス
9位:シンガポール
10位:イタリア

これは素直に素晴らしい評価と受け取りたいところだ。そしてもうひとつ、日本の運輸、宿泊、レストラン、小売店などの観光関連業界に追い風となるのが20年ぶりの水準にある円安。過去最高の海外旅客数を記録した2019年頃のドル円の為替レートは1ドル108円程度だったのに対し、今は約130円近辺を推移している。

これを実際の価格に反映すると、4,000円の和牛ステーキはドル換算で2019年当時約37ドルだったのに対し2022年の今は約31ドル、一泊1万5,000円のホテルは当時約139ドルだったのに対し今は約115ドル、新幹線(のぞみ、みずほ以外)を含むJR全線が7日間乗り放題で
外国人が利用できる29,650円のジャパンレールパスは当時約274ドルだったのに対し2022年の今は約228ドル。

つまり外国人にとって日本は当時より20%も安いコストで旅行やステイを楽しめる場所になったことになる。2年も続いたパンデミックで蓄積された世界中の人々の旅への渇望が解き放たれるタイミングで、観光魅力度No.1の国の通貨が20年来の安値。門戸を開放すればするだけ人々が訪れるのは間違いのないことだろう。

人の行き来が活発化することにより再び感染が拡大する懸念は尽きないが、良い方に転べば観光客による日本円需要により円安が是正されるとともに国内消費が活発化して日本人の所得にも好影響が及びそれがまた消費を喚起して日本経済の宿痾となっているデフレ解消の道が拓けるかもしれない。何よりこれがこの2年間を耐え忍び、苦しみぬいた関連業界がV字復活を遂げる起爆剤になることを願ってやまない。

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2011年の発行開始以来毎週配信されているBorderless Group代表玉利将彦のメールマガジン

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