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各国の株価が暴落中である。原因は米国のトランプ大統領が発表した関税の引き上げ、いわゆる「トランプ関税」である。主要国の株式指数は2024年から2025年にかけてそれぞれ史上最高値を記録していたが、そこからどのぐらい叩き落されたのか観察してみる。

2024年、34年ぶりに最高値を更新した日経平均株価は7月に42,000円台を記録していた。2025年4月7日の終値は31,136.58円なので実に10,000円以上、実に4分の1(25%)以上の時価総額が失われたことになる。

トランプ関税による各国株価の下落

株価下落の震源地のアメリカは、NYダウが2024年12月の最高値45,014.04から2025年4月7日の終値37,965.60へと約15%の下落。ナスダックは2024年12月の最高値16,764.86から2025年4月7日の終値15,603.26へと約7%の下落。S&P500は2025年2月の最高値6,144.00から2025年4月7日の終値5,062.25へと17%以上の下落。S&P500はわずか1ヶ月余りで天国から地獄へ突き落とされた形となった。

上海総合は最高値が遠い昔となった18年前の2007年に記録した6124.04だが、2024年には直近高値の約3600をつけていたので2025年4月7日の終値3,096.58と比較すると14%ぐらいの下落。

香港ハンセン指数も最高値は2018年の33,484.08。ようやく数週間前に24,000台まで持ち直してきたのだが、今回の急落で2025年4月7日の終値19,828.30まで17%の急落となった。

ドイツのDAXは2025年2月に最高値23,476.01を記録、2025年4月7日の終値19,883.25へ約15%の下落。英国のFTSE100は2025年3月に最高値8,908.91を記録、2025年4月7日の終値7,702.08へ約13%の下落。フランスCAC40は2025年3月に最高値8,259.40を記録、2025年4月7日の終値6,927.12へ約16%の下落。

オーストラリアASX200は2025年3月に最高値8,251.90を記録、2025年4月7日の終値7,343.30へ約11%の下落。

新興国市場ではインドのSENSEXの2024年9月が最高値での85,978.25、2025年4月7日の終値は773,137.90で約15%の下落。ブラジル・ボベスパ指数は2024年8月が最高値での137,469.27、2025年4月7日の終値は125,588.09で約9%の下落となっている。

軒並み半年から1年ぐらい前の株価水準に戻った形で、その間積み上げられてきた時価総額が短時間のうちに一気に失われたことになる。個人投資家目線では株式で運用中だった人たちにとって非常に辛い時間となったが、いち早くキャッシュポジションに転換した人やこれまで買いそびれていた人には参入のチャンスかもしれないので良し悪しと言えよう。

日本車にかかる関税の計算

日本経済への影響はどうか?2025年4月2日に発表された新たな関税政策で基本的に全ての国からの輸入品に対して10%の関税が課されることとなった。その上で個別の国に対して追加関税が課された。少しややこしいが追加関税として24%が課された日本の場合、合計の関税額は以下のような計算になる。例として1台100万円で日本から輸出した車をアメリカの輸入業者が支払う価格を併記する。※簡素化のため運賃他コストは無視する

1.まず、輸入品価格に対して10%の一律関税が課される(100万円 × 10% = 10万円 関税後価格 = 110万円)
2.次に、その課税後の価格に対して24%の追加関税が適用される​(110万円 × 24% = 26.4万円 関税後価格 = 136.4万円)
3.元の価格に対する総関税負担は約36.4%となる​(136.4万円-100万円=36.4万円)

100万円の車を136万円で買うのは割高なので、「しかたないから、国内生産のアメ車を買うか。。」となり、国内の会社に売上が立ちやすくなるというのがトランプ関税の大きな目的だ。

他の国の追加関税の例は以下の通り。

中国:34%(既存の20%関税に加えて)
欧州連合(EU):20%
日本:24%
韓国:25%
ベトナム:46%
カンボジア:49%

アメリカと中国の報復関税

中国に対しては前政権のときから他国に比べて20%余計に関税がかかっていたので、今回の措置を加えると合計の関税は以下のようになる。

1.まず、輸入品価格に対して10%の一律関税が課されます(100万円 × 10% = 10万円 関税後価格 = 110万円)
2.次に、その課税後の価格に対して20%の既存関税が適用される(110万円 × 20% = 22万円 関税後価格 = 132万円)
3.さらに、その新たな課税後の価格に対して34%の追加関税が課される(132万円 × 34% = 44.88万円 関税後価格 = 176.88万円)
4.結果として、元の価格に対する総関税負担は約76.9%となる(132万円 × 34% = 44.88万円 関税後価格 = 176.88万円)

この措置に対して中国は報復関税と称して、アメリカ製品に34%の関税をかける措置を発表。そしてこの報復措置に怒ったトランプ大統領はさらに中国に対して50%の関税を追加して対抗している。まるで子供の喧嘩だが、現実に世界の二大経済大国の間で起こっていることだ。

さて日本はどうするか?安全保障を依存している同盟国に対して中国と同様に報復関税で対抗できるか、それとも。。将来の祖国の行く末を予測するのに結構重要なポイントになるのではないかと注視している。

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