2017年は仮想通貨(暗号通貨)の市場が大きく成長した年だった。年初約1.7兆円だった仮想通貨全体の時価総額は同年12月末には64兆円となり、仮想通貨市場は実に37倍以上にも膨れ上がった。仮想通貨の草分けであるビットコインの価格は2017年初め頃1BTC=約10万円だったが、その価格は一時200万円を突破する勢いで上昇した。2017年末のビットコインの時価総額は25兆円だったので仮想通貨市場全体の約4割をビットコインが占めていたことになる。

2017年の仮想通貨市場

そのとき時価総額8兆円のイーサリアムの価格は2017年初、ETH1=USD8程度だったのが年末にはETH1=USD900と100倍以上の上昇を記録した。ところが年が明けて2018年の仮想通貨の相場は芳しくない。2018年3月22日現在、ビットコインは100万円を少し切る水準、イーサリアムはUSD600弱というそれぞれ最高値の約半分から3分の2の位置で推移している。

リップルなど他のアルトコインも軒並み同じような状態。全体の時価総額も約32兆円と年末の半分程度の水準に落ち着いている。下落の原因はハッキングによる相次ぐ仮想通貨の盗難事件や中国など一部の国での取引の禁止、これまで追いついて来なかった規制や徴税などが各国でだんだんと整ってきたことなど、様々なところに求めることができるだろう。個人的な意見だが昨年の仮想通貨市場はブロックチェーンやスマートコントラクトなど革新的な技術への将来性や法定通貨の概念を覆す非中央集権的な通貨への期待など実質的な価値を感じてというよりは「買えば上がるから」というのが動機のいわゆるバブル的な要素が多分にあったと感じている。

仮想通貨の投資対象としての地位確立

だから今年に入ってからの複数のマイナス要素である程度の「泡」が洗い流された今、逆に仮想通貨は金融資産としての地位を確立したようにも思えるのだ。時価総額32兆ドルという数字は巨額である。バンク・オブ・アメリカやエクソンモービルといったアメリカの伝統的巨大企業の株式の時価総額がそれぐらいである。世界の国のGDPランキングをあたると香港、マレーシア、イスラエルなどのGDPがだいたいそれに近い。ここ一年余りの間にそれだけのお金が仮想通貨に流れ込んだということは動かない事実である。1兆円、2兆円規模ならまだしも32兆円の市場が簡単に消えるというイメージは持ちにくい。

3月19日、20日に行われたG20(20カ国・地域財務省・中央銀行総裁会議)でも「暗号通貨は通貨の特性を欠くので暗号資産と呼ぶ」と否定的な表現を用いながらも資産であることを認めたのはその市場が国家にとっても無視できる規模ではないということの裏返しだろう。

だからこそ、である。仮想通貨で大きな利益をあげた人はこの機会に仮想通貨を他の金融資産や不動産などの実物資産に振り替えて分散をしてゆくことが重要である。言うまでもないことだが資産はリスク・リターンの高いものから低いものまでをバランス良く組み合わせることによって安定する。

1年足らずの間に20倍になってそれがまだ半分になるなどすでに資産としての地位を築いて久しい株式や不動産ではあり得ない。仮想通貨は現段階では超ハイリスク・ハイリターン資産なのだ。特にこれまであまり他の投資に触れずに仮想通貨に参入した人は資産のほとんどが仮想通貨で占められているのではないかと思う。それは分散投資によって資産の安定化を目指すことを推奨している僕の目から見れば極めて危険な状態だと言わざるを得ない。。

タイ・カンボジアでのホテル事業投資

一方最近では直接、仮想通貨(暗号通貨)で投資ができる案件も出てきている。例えばタイやカンボジアに展開しているホテル事業に投資する案件にはビットコインでの支払いが可能で、以下のような収益構造になっている。

1.毎月分配型

投資期間15年
年利回り7%
利払い頻度年払い・月払いから選択
最低投資額USD10,000

2.満期時元利一括払い型

満期時元利一括払い型には3年、5年、10年、15年の運用期間を選択。

3年運用プラン

投資期間3年
年利回り5%
満期時の支払い元利総額投資額の115%
最低投資額USD10,000

5年運用プラン

投資期間5年
年利回り7%
満期時の支払い元利総額投資額の135%
最低投資額USD10,000

10年運用プラン

投資期間10年
年利回り10%
満期時の支払い元利総額投資額の200%
最低投資額USD10,000

15年運用プラン

投資期間15年
年利回り12%
満期時の支払い元利総額投資額の280%
最低投資額USD10,000

 

仮想通貨からわざわざ現金に替えてそれを銀行経由で送金するという手間をかけることなく、タイの仮想通貨取扱業者に送金するだけですばやく別の金融資産に分散できるのもこの時代が生んだ新たなメリットかもしれない。そんな新時代の投資手法を見聞するのも視察の旅のテーマのひとつである。

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