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毎年不安が募る一方の公的年金。2019年の6月3日に金融庁金融審議会の市場ワーキンググループがまとめた老後資金報告書にて「長寿化により夫婦が95歳まで生きるためには2,000万円の金融資産の取り崩しが必要」と謳われたのは記憶に新しいところだ。

公的年金2,000万円不足問題

男性65歳以上、女性60歳以上の夫婦だけの無職世帯の生活費は毎月平均で5.5万円程度公的年金の受給額を上回り、その不足分が30年続けば、、という試算に基づいている。要するにそれだけの時間を過ごすのに公的年金だけで2,000万円も足りないということがニュースとなって駆け巡ったのだ。年金受給世代にも引退を目の前にした世代にも2,000万円の蓄えのない人がいる。

「年金だけじゃ足りない!?今更そんなことを言われても困る!」と紛糾したのである。その後6月11日には麻生金融相がその報告書を「正式な報告書として受け取らない」と金融審議会からの受け取りを拒否し、9月に報告書の正式撤回が決まった。

2019年少子高齢化の進行

年末になってもうひとつはっきりしたのは2019年の出生数がはじめて90万人を下回り、86万4千人程度になること。これは1899年(明治32年)の統計開始以来はじめての90万人割れである。前年比5.92%減という大幅な減少だ。ぎりぎり90万人に届かなかったのではなく一気に86万人台まで激減し、まったく届く気配もなかったと言っても過言ではないだろう。

ちなみに個人的に少子高齢化は安全保障とともに日本が直面する最も大きな問題の双璧であると捉えているので出生数の発表は毎年関心をもって見ているが正直今年の数字はかなり驚いた。2015年まで100万人を維持していた出生数が2016年に大台を割ったときには”まあ、そろそろそうなるよな。。”と感じたものだが、今年の90万人割れは”え、うそ!?早っ!”と電流が走ったような感覚だ。一方で死亡者数は137.6万人になる見込みなので差し引きの日本の人口減少は51.2万人。宇都宮市の人口が51.8万人、松山市の人口が51.4万人なので普通に県庁所在地が1年でひとつ消滅するぐらいの減少規模になっている。静岡市の人口が69.1万人なので政令指定都市レベルの年間人口減少はまさに目の前である。。

やはり向き合わなければならない年金問題

この急激な少子化の進行は賦課方式の公的年金制度を採用している日本にとって出生数の減少は本当に大きな打撃になる。年金とは簡単に言えば、若くて稼げるときにお金を支払っておいて、引退したときにお金をもらう仕組みである。そのお金の支払い方と受け取り方には「積立方式」と「賦課方式」の2種類がある。積立方式は若いときに自分のお金を自分の口座に入れて運用し、老後にその口座から出金するようなもの。自分のお金を自分で使うかたちだ。民間の金融機関が運営している個人年金がこの形である。

一方賦課方式では若いときに支払ったお金は一旦中央に集められ、そこからすぐにその時の高齢者に分配される仕組み。そして自分が引退したときにはその時の若者が支払ったお金を同じように受け取る方式である。自分のお金を他人に渡し、老後はまた他人からお金をもらう形だ。

日本の公的年金は賦課方式で現時点では20〜60歳の若い世代が支払って、65歳以上の高齢者が受け取る仕組みになっている。20〜60歳の人の数が多くて、65歳以上の人が少なければ賦課方式の運営は楽である。逆に20〜60歳の人がどんどん減ってゆく少子化、加えて寿命の伸びにより65歳以上の人が増える高齢化が賦課方式の公的年金にとって最悪のシナリオということになる。冒頭の金融審議会の報告書の受け取りを大臣が拒否したり、撤回したりすれば済むという話でないのは残念ながら数字が証明してしまっている。

そもそもその報告書は老後の生活資金不足に警鐘を鳴らし、貯蓄と資産運用によって年金以外の資金を準備する自助努力を促す目的で作られたものだ。確かにこれまで老後は年金があるから安心という雰囲気のあった中で急に2,000万円不足と発表したことが国民感情に対して配慮が足りなかったのは否めない。報告書は表向き撤回されたがその趣旨は決して間違っていないということを我々は今起こっている事実によって肝に銘じなければならない。

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2011年の発行開始以来毎週配信されているBorderless Group代表玉利将彦のメールマガジン

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