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2020年も師走。新型コロナウィルス(COVID-19)についての報道が入りだしたのは1月だが、武漢で感染者が出始めたのはその一ヶ月ぐらい前とのことなのでコロナ発生からちょうど一周年と言っても良いのだろうか。

6,500万人が感染し150万人が死亡(死亡率2.3%)東京オリンピックが延期になり、海外への渡航がいまだ著しい制限を受けている。経験したことのない特異な状況で誰もが右往左往している。

新型コロナ発生から一年後

むろん一年前の今頃はコロナの発生など知らなかったので、当時の個人的な関心事はもっぱら香港で頻発していたデモ活動だった。香港中文大学や理工大学で警察と学生の大規模衝突が発生、騒ぎは最高潮に達していてYouTubeでは連日のようにデモのライブ中継があった。バーの外でラグビーワールドカップの決勝戦を観戦していたら追われたデモ隊が傍を走り抜け、催涙弾の残り香で鼻と喉に刺激を受けたりもした、、たった一年前のことが遠い昔に感じる。

香港民主化運動の現状

12月2日香港民主化運動の中心人物である黄之鋒(ジョシュア・ウォン)や周庭(アグネス・チョウ)らに昨年違法な集会を開いたとして実刑判決が下った。黄之鋒は13.5ヶ月の禁錮刑、周庭は10ヶ月の禁錮刑。”そのくらいで済んでよかった”というのが僕の正直な感覚だ。彼/彼女らのしたことは違法かもしれないが道義的に悪いことをしたとは思えない。何年も服役することになればあまりに可哀想である。

一方で政府側(香港政府そして背後の中国政府)も巧妙にしのいだといえるのではないだろうか。世界的にも知名度のある2人に重刑を課すと国際社会が騒ぐ可能性がある、しかし民主派がたじろいで反政府運動が沈静化するぐらいの見せしめとしての効果は得たい。その微妙なバランスをうまく取ったようにも思える。司法判断の場なのに極めて政治的だがそこはお国柄というところか。

2人をはじめとする民主派は報道やSNSなどを通じて世界に発信し、国際社会を動かして自らの目標を達成しようと試みた。それは中国政府側にとってもある程度の脅威だったことだろう。しかし現時点では2020年7月の国家安全維持法の制定でかなりの批判は浴びたものの結局は軍隊を投入するには至らず、新型コロナの流行もあいまってデモはほぼ根絶され国際社会も香港の民主化にかまってられなくなった。あくまで現時点でだが、軍配は政府側に上がっていると言わざるを得ない。通貨も金融システムも税制も依然として本土は大きく違う香港の一国二制度が失われたというのは違うと考えているが、政治的には中国政府がコントロールできると判断して良いだろう。

中国のタイミリミット

さて重要なのはもちろん今後のこと。香港の憂いの消えた中国が次に手掛けたいのが台湾の統一であるのは否定できないところだ。それから中国が「自分の領土」と主張している南シナ海の西沙諸島・南沙諸島や東シナ海の尖閣諸島は次のステップとして実効支配に動いてくる可能性は高いはずだ。もちろん日本にとって他人事ではない。

これは中国側からの視点を想像するとさらに事態の切迫を実感できる。実は中国にはタイムリミットがある。原因は一人っ子政策により、若年人口が減ってきてること。中国はあと数年で米国のGDPを上回る。軍事力はアメリカには遠く及ばないものの少なくともアジア地域では随一のそれを持つようになるのは間違いあるまい。しかし今のままゆけば日本よりも深刻な少子高齢化と人口減少でその後遠からずピークアウトすることは明らか。つまり中国が影響力拡大を狙うのであれば彼らにとってここ10年ほどが勝負の分かれ目でもあるのではないだろうか。急がなければならない、ということになる。

目の上のたんこぶである米国はまだ100%とは言えないが大統領が変わる可能性が高まっている。バイデンが新大統領になれば同盟国との協調や人権保護が重視されると言われているが実際はどうだろう?我々一般人レベルの情報で将来起こることを正確に予想するのは簡単ではない。が、少しでももたついたりスキができれば、、そこを虎視眈々と狙われているのは国際社会も、日本も、我々個人も心得ておかなければならない。

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